スクアーロの帰った病室で、亜里沙は鼻唄を歌いながら携帯を取り出し、番号を押した。
数回の呼び出しで相手に切り替わる。
亜里沙の口元がニヤリと歪んだ。

「あ、もしもし、サリアだけど。そうそう青学の!久しぶり〜」

皆の前に出る時とはまた少し違う、さっぱりした話し方。
『お、この前はどーもな』
「どういたしまして。あの子どうだった?」
『すげえヨかったぜ、ま、すぐ捨てたけどな』

電話の相手は氷帝の後輩。
悪い噂の絶えないこの男とはネットで知り合い、青学生として近付いた。髪色と髪型と喋り方を変えて、サングラスかけるだけで、面白いくらい気付かない。
念の為校内での接触は避けてるけど、すれ違っても同一人物だなんて思わないわ。

「ふふ。ねえ、突然だけどアンタ今溜まってない?――アハハ、分かるわよそれくらい!…そこで一つオイシイ話があるの。……うん、うん。」

人差し指で髪を弄りながら、彼女の笑みは絶えない。

「氷帝に、苗字なまえっていう女がいるでしょ」

『ん?ああ、いるな。すげえ美人だろ』

「さあ?顔はよく知らないけど…ようはヤッちゃってほしいの。その子。グッチャグチャにしてやって」

『ハハッ、オイいいのかよ』

「いつも通りお金はあげるわ。」

『いいぜ。あいつ性悪だって聞くしな…罪悪感も持たずにヤれるぜ』

「そんなのいっつも無いくせに。ま、いいわ。それじゃあ宜しくね」


通話を終えた亜里沙は、そのまま携帯をネットに繋ぎ、アダルトサイトに接続した。

――氷帝学園3年苗字なまえ。彼氏&セフレ随時募集中(笑)いつも一人で寂しいです、私のこと見かけたら襲ってね★待ってまーす!


「こんなもんか。」

悪意の謀略

ねえ、なまえちゃん。
「待った」はナシだよ?亜里沙の怒涛の攻撃、見せてあげるから

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