「今更だが一休」
「何スか?」
「阿含は最近はよく部活に顔を出すようになったし、学校のサボりも減った」
「はいッス」
「知る限り、返り血に塗れて帰ってくる事もないし、加えて機嫌もいい」
「鬼変化ッスね」
「……じゃあ俺達が後をつける意味はあるのか?」
「そりゃまあ……ただの興味ッスけど」
「帰るぞ」
「えええええ!!!何でッスか雲水さん!」
「阿含にバレて俺達の所為で機嫌が悪くなったら元も子もないし、練習再開した時山伏先輩に泣かれる」

先輩の存在をチラつかされては一休も黙る他ない。ぐぐっと不服そうな様子が見て取れる。

「それに、阿含はいいが俺達は道着だ。さっきから視線が痛くて」
「ああ!!雲水さん!!!」

いきなり当たりっすよ、と嬉しそうな一休。
視線を辿れば、噴水の傍のベンチに腰掛ける阿含の隣に、小柄な金髪の女子高生。

「……阿含のやつ、だいぶ趣味が変わったな」
「いや、あんま胸はなさそーだけど、鬼可愛いッスよあの子!!(いーなぁ、阿含さん)」
「……危険だ。」
「え?」


阿含と長らく日々を共にした雲水は、直感的にそう悟ることができた。遠目にも分かる阿含の空気の、柔らかさ。

「逃げるぞ一休」
「ちょ、ちょっと雲水さん!?」
「関わると絶対ろくな事にならない。断言できる」
「何なんスかその謎の予感!!ていうか、ていうか雲水さん、」

ガシッ

「もう、鬼遅いっつーか…」

 

×