※三兄弟と三奇人イベの個別ストーリー太陽ルートのネタバレが含まれてます
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アイドルの国……そこは、突如現れた三人組の影響を受けて瞬く間に名を轟かせていった場所。
その国に興味を持ったフロストさんと一緒に、私は赴いていた。その土地で行われているライブを身に行ったことをきっかけに、関係者に声をかけられレッスンを受けることとなる。
近々行われるライブに出演することが決まり、しかもフロストさんが作詞する曲が披露されることまで話が進んだことは本当に驚きを隠せなかったものだ。
(フロストさん、今日も楽しそう……)
レッスン部屋へ着くと同時に、指導してくださっている方と熱心に曲と歌詞のバランスや響きについて討論している。
今日も昨日と同じように長くなりそう、と思いながら見つめていると……
「?」
トントン、と誰かに叩かれて顔を横へ向ける。そこには、この施設の関係者であろう女性が立っていた。
「貴女、彼のお連れさん?」
「あ、はい。そうですが……」
「ん〜……」
「…………あ、あの……」
初対面だからなのか、彼女は私をジッと見ては全身を舐めまわすように見つめ……大きく頷いた。
「ちょっとゴメン、少しだけ付き合ってね!」
「え??」
そして、訳が分からないまま腕を引かれ……私はフロストさんのレッスン部屋から出ていくのだった。
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曲のテンポも憶え、歌詞もようやく満足いく形になってきた。
一日で仕上げた歌詞ではあるが、素人ということもあり細かな調整が必要であることは承知の上。念入りに作り込み、完璧なものに仕上げよう。
(作るテーマにラブソングがあったな。姫の態度も気になり、話に触れないようにしたが……)
もし、もしも……俺がラブソングを作ったとしても、聞かせる者など姫以外該当するものが居ないのは言うまでもなく。誰かに披露するなど、絶対しないだろう。何故なら、彼女に聞いてもらうことに意味があるものだから――
そう思いながら、ふと視線を動かすと……先程まであった彼女の姿がなかった。
「?」
おかしい、俺に声をかけずに居なくなるなど……
「あれ? お連れの彼女、何処かに行かれたんですか?」
姫の姿がなく不審に思ったのは、指導してくれている奴も気付いたようだ。
捜しに行こうと足を動かそうとした時……突如部屋の扉が開かれた。
「やっぱり、私の目に狂いはなかったわ! 明日も来てね、絶対よ!!」
「は、はい……」
満足そうに話す見知らぬ女と、呆気に取られながらも少しだけ息が上がっている姫が入ってきたことで俺は安堵の息を漏らす。
「何処へ行っていた? 今から探しに行こうとしてたところだ」
「それは――」
「私が稽古をつけてました!」
姫の言葉を遮るように、女がそう話を切り出した。稽古、だと……?
「この子はダイヤの原石よ! 近々行われるライブに間に合わせるよう、しっかりとレッスンさせるからね!」
「へー、君が積極的になるなんて意外だなー。それだけ見込みがあったってことかい?」
「まーね!」
話の趣旨が分からなく首を傾げる俺だが、これだけは理解できた。彼女も、俺同様にステージに立つということだ。
「姫の歌、か……」
「やはり、フロスト王子も気になりますよね? 気になっちゃいますよね!? でも、当日まで待って下さいね。あっと驚く美声に仕上げますよー!」
「美声だなんて、そんな……」
カァァと頬を赤く染めて視線を泳がせている彼女が、とても愛らしい。
まさか、同じステージに立つことになるとは……これは俺も気合を入れねばならんか。
「彼女に合った曲をいくつか用意してますので、あとは練習あるのみよ! 頑張りましょ!」
「は、はい……!」
いつになく力んでいる彼女は、新たなことに挑戦する姿勢を強く感じさせる。それほどまでに稽古とやらが良かったのか、それとも……
――いや、これ以上考えるのはよそう。
「お互いの楽しみが増えたのだ、本番を楽しみにしている」
「私も、フロストさんの歌を楽しみにしてますね」
ステージ本番まで、お互いに過ごせる時間が大幅に少なくなってしまったが悔いはない。姫の歌が聴けるのだ……期待を多く持つとしよう。
そんな事を思いながらレッスンを受ける日は馬が駆けるかの如く過ぎていき、とうとう本番となった――
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