01

 
「出て行け!!」

「貴女がいたから、私達はだめになったのよ!!」


―どうして…?


「ここに二度と戻ってくるなっ!!」


―何で?何もしてないのに…


中学2年の、寒い冬の事だった………

彼女・名前は、両親に家から追い出されてしまった。

原因は、父親が隠していた多額の借金。そのせいで、名前は家にいることができなくなったのだ。

何処へ行けば分からずに、いつの間にか雲の流れが速くなり雨が降ってきた。

雨に打たれて泣いていると、誰かが傘を傾けてきた。


「どうかされましたか?」


男が首をかしげながら流星に話しかけにきたのだ。




ココロに残る傷




「…そうですか、両親に捨てられてしまったのですか……」


彼は、赤屍蔵人と名のった。

真っ暗な世界にいきなり投げ込まれた名前に、手を差し伸べてきた人物である。


「どうしよう…学校もあるし、でも家もないし、泊めてくれる親戚や祖父母もいない…」


顔を暗くする名前。雨に紛れて、涙を流しているようだ。


「もし宜しければ、私の家に来ますか?」


これが、赤屍との最初の出会いであった。




******




あれから数日、学校もやめて名前は赤屍の家の居候となった。

最初は、慣れるのに大変だったが今はテキパキと部屋の掃除や洗濯、家事をこなせるようになっていた。


「ただいま」

「お帰りなさい、赤屍さん」


今はお昼時、仕事を終えた赤屍はコートをハンガーにかけながら名前に言った。


「もうちょっとでお昼ができるから、待ってて!」

「少し手伝いますよ、いつまでも任せっぱなしにするのは良くないのでね」

「そうですか…?」


時々、暗い表情になったり突然泣き出すことがあったが 今は元気に振舞うようになった名前。

そんな名前を、赤屍は暖かな眼差しで見守っていた。


『―――さて、次のニュースです。先日、娘を捨てたという両親が警察の捜索願いをだしにきました。娘の名前は名前、学校の方に連絡を入れたがもうやめたと言われたことをきっかけに娘を探しているそうです。詳しくは―――――』


昼頃やっているニュースから流れてきた情報に、名前は驚いてテレビの方を向いた。


「……戻られますか?」


肩にポンッと手を乗せて問う赤屍。


「いいえ、戻る気はありません。もう一度、捨てられるかもしれないから……うっ」


持っていた皿を落とし、名前は倒れそうになる。


「名前!?」


だが、とっさに赤屍が名前の体を支えた。
 




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