短編 | ナノ
嫉妬深い豹3:ルッチIF

ここ数日の出来事ですっかり気分を害した少女は、ルッチと一緒に眠ることを断固拒否し始めた。

「それじゃ、おやすみっ」

あっかんベーと舌を出してから、ルッチに背を向けてソファーに横になる少女。
言い出したら聞かないという外見に似合わず頑固な少女なので、ルッチも何かを言うことを放棄して枕に頭を預けた。

数分しないうちに安らかな寝息が耳に届く。
恐ろしいほどの寝付きの良さである。
少女が眠るソファーに視線を向けると、身体を小さく丸めて眠る少女の姿が見えた。
CP9として身につけたものなのか、ネコネコの実を食べて身についたものなのかは分からないが、闇夜の中でもはっきりとその姿は見える。

身体を丸めて眠るのは、幼い頃にクローゼットに押し込められて育った少女の癖。
まるで世界との接触を絶つように眠るその姿がルッチは好きではない。
ちっと舌打ちをすると、ベッドから降りて少女の元へと向かう。
そのまま掛けていた毛布ごと俵のように掴むとベッドへと放り投げた。

「むぎゅっ」

妙な呻き声を上げたものの、少女が起きる様子はない。
夢見が悪くなったのか眉間にしわを寄せて眠る少女を、自分もベッドに横になり至近距離で見つめる。
いつの間にか鼻の頭が赤くなっているが、どこで擦り剥いたのだろうか(もちろん、ベッドに放り投げられた時である)。
瞬きもせずに向けられる視線に居心地が悪くなったのか、少女はもぞもぞと身をよじる。

ころりと転がってくる身体は、ルッチの腕の中に収まった。
ルッチの胸に甘えるようにぐりぐりと頭を擦り付けてくる少女。
煩わしい奴だと思いながら、引き剥がそうと少女の背に手を回した瞬間―――。

「……ルッチ……だぁいすき……」

小さな呟きが耳に届いた。


小さく溜息をついた


(………ソファーで寝てたはずなんだけど、なんでこうなったんだろ?)

目が覚めると、何故かルッチのベッドで抱き締められるように寝ていた。
何事かと目を瞬くが、自分よりも早く起きていることの多い彼は、珍しいことにまだ寝ているので話を聞くことが出来ない。

(………ま、いいか)

彼の腕の中が心地よかったので、もう少しだけこのままでいようと、そっと瞼を閉じた。

end

←一週間前

13/01/08


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -