嫉妬深い豹1:ルッチIF
「起きろ」
ベッドですやすやと安らかな寝息を立てている少女を揺り動かす。
けれど、少女が目を覚ますことはない。
寝付きはいいが、寝起きはあまり良くないのだ。
「おい」
起きないと仕事に遅れる。
この少女を見捨てて先に仕事に行くことは可能だが、そうなると船大工たちが彼女の家に電話をする。
そこに彼女がいないとなれば、あの過保護どもがどういう行動に出るかということが予想が出来る。
これで自分との関係がばれようものなら考えるだけでも頭が痛い。
「おい、起き―――」
「……だい……すき……」
ふにゃふにゃと寝息と共に呟かれた台詞に動きを止める。
少女はシーツに包まったまま微笑んでいる。
その頬に手の甲でそっと触れる。
すると、少女の笑みが更に深くなった。
幸せそうなその顔にもう少しだけ寝かせておいてやるかと思った瞬間―――。
「……とーちゃん……」
えへえへと微笑みながら、少女は幸せそうに呟いた。
ベッドから蹴落とした
「いたた……。何もベッドから蹴り落とすことないだろ!?」
「さっさと起きないからだ」
「もー、すごくいい夢見てたのに」
「チッ」
→5日後13/01/08