しりとり
「んー‥、あーー、あ!じゃがバター!」
「た!?さっきも"た"だったじゃないー!」
「別に反則じゃないだろ〜?」
「もうっ!ヒビキくんの意地悪!」
私とヒビキくんは、私の家でしりとりをしている。本当はコトネちゃんも呼んだんだけど、急用が入って行けなくなったらしい。
それにしても、しりとりを始めてからもう何時間も経つ。そろそろ違う遊びしろよって感じだけど、お互い負けず嫌いな私達はしりとりを止める事が出来ないのだ。これだけ長い時間しりとりをしてれば、もう次に何が出ても困る状態。逃げ出したくもなるが、目の前でニッと笑うヒビキくんの顔を見るとどうも止められない。
「もう降参すれば〜?」
「やだ!絶対やだぁ!」
「じゃぁ早く言えよ。」
ヒビキくん、完全に意地悪モード入ってますね。さすがに何時間もやってればおかしくなるかもだけど‥意地悪モードになったからって負けないもんね!
「‥食べたい。」
「はい?」
「"た"でしょ?食べたい!」
「そんなの有り!?」
「有りなの!じゃがバター食べたいんだからいいでしょ!」
「あー分かった分かった、息!」
「なんでそんな早く思いつくのよー!き、きー‥拒否!」
「‥‥‥‥‥‥"ひ"か‥!」
ヒビキくんは難しそうな顔をしてる。よっしゃ、この顔が見たかったのよ私は。
「降参すれば〜?ヒビキくんっ。」
「あ!‥‥ヒビキ!」
「え?」
「自分から答え教えてくれるなんてね、優しいなぁナマエちゃん。」
「んー!悔しいー!"き"なんて、もう言い尽くしたよ‥。」
考えても考えても思いうかばなくて、頭を抱える。こうゆう時は冷静にならなきゃね。目を閉じて、じっくり考える。き、き、き‥!
「キス!」
「‥‥‥‥‥して欲しいの?」
「は!?何でそうなるのよ!」
「じゃがバター、食べたい‥ヒビキ、キス‥。」
「そ、そゆ意味じゃ‥!」
何故言葉が続かなかったのか理解するのに数十秒。私は今、ヒビキくんに軽くキスをされた。驚いてヒビキくんの顔を見ると、ヒビキくんは顔を真っ赤にして私をまっすぐ見つめ返してきた。
「好き‥」
「へ?」
嘘‥ヒビキくんが、私を好きなんて‥そんな夢みたいな事、有り得ないよ‥!あ、そうか!キス‥好き‥これはしりとりの続きなんですね、分かります!
「キス、キスキス!」
考える余裕もなく、出た言葉はまたまたキス。ヒビキくんは物凄い驚いた顔をしている。私、馬鹿だ、どうしよう。
「ナマエちゃん、さっきのじゃ、足りなかったの‥?」
「っ!ち、」
「‥‥‥僕も、さっきの好きだけじゃ足りないくらいナマエちゃんの事が好きだよ。」
「え‥?」
信じられなくて、言葉が出ない。私の大好きなヒビキくんが私の事を好きだなんて。今の私はきっとオクタンみたいな顔をしているに違いない。
「私‥も、ヒビキくんの事が、好き、だよ‥!」
やっとの思いで言葉を出すと、ヒビキくんは照れ笑いをした。そして両手を伸ばして優しく私の頬を包む。
「なんか、夢みたいだ‥大好きだよ、ナマエ。」
そしてどんどん顔が近づいてきて、私は自然と目を閉じた。
ヒビキくんはさっきのキスよりもっと甘い甘いキスをしてくれた。
end
*
長い時間終わる事の出来なかったしりとりはこれにて終了。次は何の遊びをするかって?それは皆さんのご想像にお任せしますよ!←
いやぁああそれにしてもしりとりの流れで告白とかこれほどロマンチックのカケラもないものを書いてしまって本当に申し訳ございません><
ちなみにコトネちゃんは空気を読んでくれました←
こんな駄目文を読んで下さったナマエさん、ありがとうございました‥!泣
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[mokuji]
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