マダツボミの塔



マダツボミの塔に足を踏み入れた。は、柱が揺れてる!崩れないのかな。
上るとお坊さん達が沢山勝負をしかけてきた。何故か出すポケモンはみんなマダツボミだ。チコたん今だに相性に恵まれないね。草同士、効果は今ひとつ。登ってる途中に野生のゴースが沢山でてきてその相手もするチコリータはもうヘトヘトだったが何とか最後のお坊さんらしき人を倒した。あの柱を越えれば長老様が居るらしい。柱の間近まで来ると、見覚えのある後ろ姿を発見した。


「そなたの実力、確かに偽りなし…約束どうりこのわざマシンを渡そう。だが…もうちっと、ポケモンを労るべきですぞ。」
「…フン、偉そうに。長老なんて名乗ってる癖に全然歯ごたえないじゃないか。当然だな、ポケモンに優しくとかそんな甘い事言ってる奴に俺が負けるわけない。」
「そなたの戦い方はあまりにも厳しすぎる。ポケモンは戦いの道具ではないのです。」
「俺にとって必要なのは、強くて勝てるポケモンだけ。それ以外のポケモンなんてどうだっていいのさ!」


盗み聞き、してたなんて知られたら怒られるだろう。だけど私は黙っていられなかった。


「シルバーくん!そんなの、シルバーくんの本心じゃないよね…?!」
「‥‥‥!?お前、聞いてたのか。何訳の分からない事を言っている。お前に俺の何が分かるんだ。」


シルバーくんはあなぬけのヒモを使って塔を出ていった。
確かに私、シルバー君の事何も知らないくせに自分の思った事を口走ってしまった。何でだろう、さっきのひどい発言も、ヒノアラシを盗んだということも、目の当たりにした事実。明らかに悪い人だ。だけどシルバーくんが悪い人だとどうしても思えなくて、見方をしてしまっている自分がいる。初めてバトルをした相手だから自分の中で美化してしまっているのだろうか。ふと嬉しそうにヒノアラシを貰う話を毎日のように話すヒビキくんの笑顔を思い出して心が痛んだ。


「お嬢さん、よくぞここまで参られたな!…戦えるかな?」
「…はい!」
「では、そなたとポケモンの絆確かめてもらいますぞ!」


チコリータはヘトヘトすぎてさすがに危なかったが勝利してわざマシンのフラッシュを貰った。そして運よくあなぬけのヒモが落ちていたのでマダツボミの塔楽々脱出。


そしてポケセンに直行。チコリータたくさん戦わせちゃってごめんね。新しい仲間を早く増やさなきゃね。回復を終えてポケセンを出ようとすると、驚きの光景を目の当たりにした。シルバーくんがヒノアラシを切なげな顔で撫でていたのだ。やっぱり、悪い人になんて思えないよ。でも今は顔を合わせずらいかも…。私は音をたてないように後ずさりをした。


「きゃっ!!」


が、何かにぶつかってしまったみたい。お願いだから、気付かないで、こっち向かないで…!そんな願いは惜しくも、シルバーくんは後ろを振り向きバッチリ目が合ってしまう。


「お前足っ、血、出てるぞ。」
「あ…本当だ!絆創膏…」


私はリュックから絆創膏を探す。だが、見つからない。しばらく探していると、目の前に絆創膏が現れた。


「チッ…使えよ。」
「シルバーくん!ありがとう…!」



シルバーくんがくれた絆創膏を怪我に早速つけた。


「ありがとう!これで大丈夫!」



シルバーくんに微笑むと、顔を背けられた。



「ボーっとしてるから、怪我なんかするんだよ。ポケモンにも生温いやつは、私生活も生温いんだな。」
「シルバーくん、そんな事言うけど、さっきヒノアラシを撫でてたよね?何で口ではそんな事言うの…?」


そう言った瞬間、顔を背けてたシルバーに物凄いで睨まれる。こ、怖い…


「な、撫でてなんかない!気のせいだ!俺にとってポケモンは、強くなる為の道具で、馴れ合う事も一切ない!」


あまりにもの大きな声と勢いに、私はびっくりして涙目になっていた。


「…チッ!行くぞ!」
「え?!」



シルバーくんに急に腕を引っ張られる。何事かと思ったが、すぐに状況は理解できた。ポケモンセンターにいる人たちの注目のまとになっていたのだ。ポケモンセンターを出たあともしばらく引っ張られ続ける。腕も、怪我をした足も少し痛む。



「シルバーくん、ちょっと痛いかも…」


すぐにシルバーくんは腕を離した。

「…悪い。」


聞こえない位の小さな声。私は自然と頬が緩んでしまった。


「あの、さっきはごめん。シルバーくんの事、何も知らないくせに勝手にいろいろ言って。でも、シルバーくん、どうしても悪い人には見えないの。私の思い勝手かも知れないけど。何か、悩みとかがあるなら、私で良ければ力になるよ?」
「‥っ!うるさいな!俺は悪い奴だ!同情なんていらないんだよ!」
「そんな事言わないで…!」
「なんでそんなに俺に構う?お前、これ以上俺に近付くなよ!」


シルバーくんは走ってどっかにいってしまった。私の目には涙が伝っていた。





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