最初のパートナー
「やぁ、ようやく3人そろったんだね。」
「す、すみません…。」
「気にしなくていいよ、最初のポケモンを貰いにくる子は楽しみすぎて寝れなかったのか寝坊してくる子が多いんだ。」
ウツギ博士がニコッと笑ってくれたので安心した。ウツギ博士って優しい人だな。いや、まって。私が遅刻したのは寝坊じゃなくて!
「あの、実はさっき窓に「さぁ、3人とも最初のポケモンを選んでね」
ウツギ博士がモンスターボールが3つある装置を見せてくれた。やばい…!ついにこの瞬間が来た。どれだけ待ち望んでいた事か。ん?また大事な事を言いそびれたような、ま、後でいっか。
「みんな、でてきて!」
ウツギ博士が3体のポケモンを出してくれた。テレビや雑誌でしか見た事がなかった初心者用ポケモンが今現実に目の前にいる。右からチコリータ、ワニノコ、ヒノアラシ。みんな可愛すぎるっ!
でも、私は最初から決めてたの。ヒビキくんは確かあのコにするって言ってたから、私とは被ってない。コトネちゃんは事前に誰にするの?って聞いても何故か教えてくれなかった。被ってたらどうしよう。
コトネちゃんを見ると「可愛い〜」と言いながら一方をガン見している。ですよね、やっぱあのコですよね。
「じゃぁ、最初に来た子から選んでね。コトネちゃん?」
「え、ウツギ博士…僕は?」
「ヒビキくんは一番最後ね。」
「は、はい…。」
「さあコトネちゃん、選んで!」
「ええっ…!」
コトネちゃんはなんだか申し訳なさそうな顔で私を一瞬見た。そして遠慮がちに3匹の方へ近寄って行く。うう…まぁそうだよね。でも私は遅刻した身だし…悲しいけどあのコじゃなくても愛せるよ…!
「…私、このコが良いです!」
コトネちゃんはついにそのコを抱き上げてしまったみたい。くるっと振り返えるコトネちゃんの腕にはワニノコがいる。‥ってワニノコ!?
「コトネちゃん、ワニノコにするのかい?」
「はい、ワニノコは水タイプだけじゃなくて雷タイプや氷タイプも覚えてくれるので、万能なんですよね!しかも可愛くて、強そうで最高!」
『ワニワニワニワ〜!』
コトネちゃんは嬉しそうにワニノコに頬を擦り寄せている。ワニノコも嬉しそう。うん、ワニノコは可愛い。でも最終進化系のオーダイルを連れているコトネちゃんって…まさにギャップでしょ。
「良かったな、コトネちゃん。ナマエちゃんも。」
ヒビキくんが私にニコッと笑いかけた。
そうだ、私が最初のパートナーに決めていたのは…。ヒビキくんには教えていた。コトネちゃんは教えたら私に気を使って違うコにしそうだから言わなかったけど。
ヒビキくんに笑顔を向けて私も決めていたコを抱き上げた。
「私はこのコにします。」
『チコ!』
「きゃー可愛い!チコリータ、よろしくね!」
チコリータをぎゅーっと抱きしめる。そう、私は初めてテレビで見た時からチコリータに決めていた。一目惚れです。
「やっぱりナマエちゃんはチコリータかぁ。私、ワニノコが良いって言ってもし一緒だったらナマエちゃん遠慮しちゃうと思って言えなかったの。でも違ったなら最初から言っちゃえば良かったね。」
コトネちゃんがニッコリ笑う。コトネちゃん、私と同じ事考えてたんだ。
「コトネちゃん〜、大好き!」
私はチコリータを一旦ヒビキくんに渡してコトネちゃんに抱き着いた。
「あははっ、ナマエちゃんったら大袈裟だよ。」
「あのー。僕にも」
「ん?何?」
「な、なんでもないっ!」
ヒビキくんに近付くと何やら凄い慌てだした。なんだろう。
「え!冗談だって!」
「え?…チコリータありがとね!」
「あぁ、そっか!」
ヒビキくんが我に帰ったようにチコリータを渡してくれた。
「もーヒビキくんたらじれったいなぁ!」
「うるさいよコトネちゃん。」
「何の話?」
「ナマエちゃんは鈍感すぎ。」
「コトネちゃん黙って。」
「あ、そっか!私知ってるよ?」
「「え!?」」
「ヒビキくん、自分で言ってたじゃん。」
「僕、言ったっけ!?」
ヒビキくんの顔は、何故かみるみる赤くなっていく。
「僕にはマリルが居るからヒノアラシにするんだって。」
「‥‥あーそっちか。」
「もう!ナマエちゃんビックリさせないでよ!」
「そんなビックリする事なの?」
「あーもういいわよ。」
「とりあえず僕は大切な大切なパートナー、ヒノアラシを『リル!』
ヒビキくんがヒノアラシを抱き上げようとしたら、マリルがヒビキくんの胸に飛びついた。
「どうしたんだ?マリル?」
『リル!リル!』
マリルは研究所を飛び出していってしまった。
「マリル!待つんだ!」
ヒビキくんはマリルを追いかけに飛び出した。コトネちゃんも、ウツギ博士も研究員の人もみんな飛び出していく。私も追いかけなきゃ!
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