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「俺様ちょっと過保護すぎたね…反省したよ」
『……え?』
怒られるとばかり思っていたので羅唯はかなり拍子抜けした。
「よく此処まで歩いて来たね、まぁ帰ろ」
佐助は羅唯に背中に乗れと言った。
『…いいの?』
「甘えときなって」
『ありがとう!』
微笑んで羅唯は背中に乗ると風のように佐助は移動し始めた。
「楽しかった?」
『え?』
「だぁから、散歩は楽しかった?」
『楽しかったよ!』
背中越しに笑顔で散歩中の話をしだす羅唯にクスリと微笑んだ。
「まぁ、楽しかったならよかったじゃないの」
『今度は佐助も絶対一緒に行こうね♪』
「はいはい」
たまには過保護すぎずにいようと決めた俺様だったけれど、首に巻き付く羅唯の腕に血がついているのを発見した。
『あのね、賊に襲われたお坊さんが居たんだけど、その人強くてみんな倒しちゃったんだ!』
「ふぅん、そうなんだ
アンタは巻き込まれなかったの?」
『大丈夫だったよ!』
それで返り血がついたのかと少し安心した。
「で、どんな人?」
『すごい綺麗で不思議でよく笑う人だった!』
「綺麗とか、俺様嫉妬しちゃうよ?」
クスクスと笑って俺は足を早めた。安心したんだ、羅唯が居ることで。
少し嫌な予感がしたけれど
俺は胸を撫で下ろした
(綺麗で不思議で)
(よく笑う人)
(良かった。あいつじゃなさそうだ。)
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