07 姉との遭遇
ここは学園を中心に東西南北に其々の街がある。
東は服やジュエリー、食材などを売っているショップ街
西はレストランゾーン。
中心にある学園並みに広い。
北は入学式があったホールやらパーティー会場みたいなのがいっぱいあるとこ。
南は寮。普通は一人一部屋らしいのだが、俺達は外部から来て不慣れだろうから二人じゃないかって、崎森君が言ってた。
「ここねすっごくいいお店なんだ。」
と言って崎森君が立ち止まった店は、美稚姉が経営するジュエリーショップだった。
「…なんでジュエリーショップなの?」
もっと違うとこで良くない?
手前にある服屋とかさ。
「たまにくる社長さんがすっごくいい人で、お客じゃないのに相談にのってもらったりしてくれるんだっ!」
崎森君がどんな相談をするのかはわかんないけど、その社長、腐的な事で喜んで聞いているだけであって、良い人ではないと思うんだ。
……………………んっ?
なんだか視線を感じ………る………
「あら、透君じゃない。今日はお友達も一緒?」
そこには数カ月ぶりに会うお姉様の御姿が…
「美稚さん!此方仲良くなった篠宮君と村上君です。」
お姉様は俺の顔を見るなりにこぉーっと不気味に笑顔を振りまいている。
「誰かと思えば、結城じゃない。連絡くれないからお姉ちゃん寂しかったわ。」
まろやかに言っていますが、実際は"何で入る前に連絡してこなかったんだよ。"です。
連絡したら変な事に巻き込まれそうだったので、あえてしなかったとは言えまい。
「えっ?篠宮君って美稚さんの弟なの?」
「うん。」
やけにテンション高い崎森君。
まさか…君、姉に惚れているんじゃあるまいな!?
「へぇ、お前のお姉さん綺麗だな。」
村上君、それは見た目だけなのだよ。
中身は手をつけられないくらいのホモハンターなのだよ。狙いを定められた瞬間、君はもう男を好きになっているから気を付けて。
「ふふ、ありがとう。もう少しお話ししたいところだけれど、理事長に御用があって今日はもう行かなければならないの。」
「そう…なんですか。また、来ても良いですか?」
「ええ、喜んで。」
姉は「じゃあ」と言って店を出た。
その数秒後、姉からのメールが一件。
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あの、身持ちが硬い透君と仲良く
なるなんて流石、結城ね!
イケメンの子とも仲良くなっちゃう
わけだし、やっぱり私の見込んだ
通り、結城は総受け要素を
持っているんだわ!
これから毎月、10日と20日に
私のお店へ来て学園での生活を
報告しにくる事。わかった?
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わかった…っと。
はぁ、毎月二回も腐トークに付き合わなきゃいけなくなるのか。
「美稚さん…」
姉が去って行った場所をまだジーッとながめる姿は、まるで恋する少年のようだった。
「崎森は篠宮のお姉さんが好きなのか?」
村上君のストレートな質問にカァー赤くなってわたわたと慌て出す崎森君。
「ち、違うよっ!ただ、もうちょっとお話ししたかっただけ…」
「毎月、10日と20日は店に居るみたいだよ。」
と教えてあげると表情がパァーと明るくなる。
それを見た村上君が、「それ、好きなんじゃないか?」と言いかけそうになったのを遮り、崎森君の恋を暖かく見守ろうと伝えた。
希望はないと思うが。
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