02
「おい、葉月。んとに、ここでいいのか」
「何が?」
「お前が通う学校」
「うーん、どうだろうねー」
「どうだろうじゃねぇよ」
「とりあえず体育館行っていいかな?それで決めるし」
「はいはい。」
体育館付近で停めてもらい私は車から降りる。
ま、練習風景なんか見なくてもこの高校に入る気なんだけどね
体育館から聞こえるボールの弾む音
心地好い音を聞きながら私は扉を開ける
扉の開いた音が鳴るとボールの弾む音が消えた
「こんにちはー」
中にいる選手達に私は声をかけた
女の子が私のほうを向く
「なにか用ですか…?」
「えっと用というか…」
私はここにいるはずの知り合いを探した
「テッちゃんいませんか?」
「テッちゃん?」
眼鏡の男の人が聞く
「えっと、黒子テツヤくんいませんか?」
「あー黒子か…。今日部活休みだし、黒子達一年はストバス行ったみたいだけど」
「テッちゃんストバスに行ったのかー。うーん…どうしようかな」
「黒子になんか用すか?」
「用事って言ったら用事なんですけど…。」
「終わったらこっちにくるように連絡いれておくし、ここで待つ?」
「いいんですか?」
「別に構わないわよね?」
女の子に文句を言う人は誰もいなかった。
そしてまた、ボールの弾む音がした
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今日は部活が休みだと先ほど言っていたがオフの日にここまでの練習をこなすとは……。
それにあの女の人。的確な指示を出している…すごいな。
「はい終了ー!!」
「おーしゃ!!」
「ってなんで普通に練習してんのオレ達!!」
「今日オレらホントは休みなのに……!」
「やっべフツーに汗だくだよー」
「ちょっときがえてくる」
「全然休日にならなかったな…」
誠凜高校…か…。てっちゃんもいい高校に入ったなー。
「すごいですね」
「え?」
「ここの選手の皆さんしっかり鍛えられているなーって。」
私がいきなり話かけたせいか女の子は私の方を見つめてきた
「…あなた何者?」
「てっちゃんの昔の知り合いです」
尚も不思議そうに女の人は私を見つめていた。何かを口にしようとしたとき別の声が聞こえた
「え?あれ!?なんでここに…てゆかどしたの?」
「あの…テツ君…いますか?」
聞こえてきた声はよく知っている人物のものだった
「いや…今いないけど…?」
「え?え!?どゆこと」
「つかなんか深刻っぽいよ…」
「みたいだな…けどヤベーよどうしよう」
さつきのずぶ濡れの姿にどきどきしている男性陣に腹をたて女の子は「はいタオルとTシャツ貸してあげる。話はそれからね」といいさつきを更衣室の方へ通した
「なんだろな今日…」
「黒子に用事があるひとがここまでいるとは…」
「今から黒子くん達くるみたいよ。さっきメールが返ってきたわ」
数分後さつきが更衣室からでてきた
「あの…タオルとシャツありがとうございます。ちょっとキツいですけど」
なるほどさつきが着るとTシャツはあんなことになるんだな。羨ましい。なんだあの胸けしからん。
そう思っているのは私だけではないようで気分を害した女の子は男性陣に「外周行ってこい」と言った。
この雨の中外を走らなければならないとは男性陣も不憫である
「あのリコさん、いいんですか?」
「いいわよ。アイツら頑丈だし。」
さつきはやっと私がいることに気づいたのだろうかこちらを見て目を見開いていた
「葉月本当に誠凜に入ったんだね」
「え?」
私がバスケ部の皆さんに伝えるよりも先にここにきた理由をさつきに言われてしまった。
「違うんですか?」
「いや、この子さっき来て黒子くんに会いたいっていうから」
二人が私の方を見つめてきた
「申し遅れました。私は白川葉月といいます。誠凜高校バスケ部マネージャーになるため本日こちらを尋ねさせていただきました。順番が逆になってしまって申し訳ありません。」
私のいきなりの宣言にリコさんは驚いているようだ。
「うちの高校の子?」
「いえ、まだ違うのですが編入しようと思っています。」
「なんでまた誠凜に?」
「キセキの世代と呼ばれている彼等を倒すためです。」
リコさんは一瞬目を見開いたがすぐに笑みを浮かべ「面白いこと言うわね」と言った
−−−ガラガラ
体育館の扉の開く音がした
リコと私がその方へ目を向けるとよく知っている人物が目に入った。私が声をかけようとしたとき、先ほどまで隣にいたはずのさつきがてっちゃんに抱き着いているのが見えた
「テツ君!!」
「桃井さん」
さつきの力が強すぎて、てっちゃんとさつきは倒れてしまった
「カントク…なんですかコレ!?」
「ま、いろいろとあったのよ」
(挨拶のタイミングを逃してしまった)
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