繋いだ右手を忘れずに。 | ナノ


▼ 1つ

まさか、この私が恋をするなんて思ってもみなかった。
しかも、その恋は初めてで単純なモノだったかもしれない。
だって、初恋だったし。
今思えば、なんであんな恋をしたのだろう。
・・・なんて今更か。

あれは、突然だった。――――――――






―――――・・・

今日は学校もなく、暇で散歩がてら60階通り付近をフラフラしていた。

歩き疲れて,東池袋公園のベンチに座って休憩していると、目の前に人の気配を感じた。


「そこの素敵なおじょーさんっ!」


『え、は、はい』


突然のナンパ。
思わず顔を上げると、髪を金髪に染めた少年が立っていた。

(あ、ピアス開けてる。うーん…年上か)

ピアスを開けてるか開けていないかの有無で、年齢を決めるのはどうかと思うけど、
でも、顔からして童顔ではないし…


「あのー、聞いてます?もしかして、俺に惚れちゃったとか?」


私が脳内で意見を出し合っている中、目の前の少年が口を開く。


『えっと、一応聞いてます。一つ質問なんですけど』


「はいー!俺について答えられるだけ、答えちゃいますっ」


『私に何か、用ですか?』


ナンパと分かっていたが、一番聞きたかったことはこれだ。


「あー…えっと、お茶でもします?」


彼は、話しかけることが目的だったのか。
そうか。
ならば、初めから話しかけないでくれ。

内心そう思った。
まぁ人柄もよさそうだし、年齢は不明だが、そこそこのイケメンだったので、暇つぶしにお茶をすることにした。


ナンパするなら目的を持て。





「ねぇねぇ、名前なんて言うのー?」


『えー、ナンパしてきた人から言えよ。と言うより、君いくつ?』


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