長編、企画 | ナノ

菅原孝支



「なんかちょっと面白くなってきたな。で、跳子、俺は?」

菅原が笑顔で跳子の方を振り向く。
同じように笑顔を返した跳子が手にしていた紙袋を手渡した。

「おっ、なんか着物っぽいのと…、ふさふさしてんのが入ってんな。」

とりあえず菅原が着替えてみると、ふさふさしているのは9つにわかれた金色の尻尾だ。
耳とあわせてつけてみれば、それが狐だとわかった。

『スガ先輩は、妖狐にしてみました。』
「おー何かマンガとかで聞いたことあるな、それ。」
『ハイ!多分有名ですよー。その中でも最強な"白面金毛九尾の狐"のイメージです。』
「へぇー。」

楽しそうに菅原が動くと9つの尻尾もふわりと動く。

「…なんか気持ちよさそうだな。」
「…すんごい触りたくなるね。そのもふもふ。」
「いや、コレまじ手触り超いいぞ。」

澤村と東峰が尻尾を見つめてボソリと言えば、菅原が自慢げに笑った。

跳子が菅原の姿にほぅっとほれぼれするように息をつく。
その姿はとても邪悪な妖怪には見えないが、和装束が妙に妖艶で色っぽい。

『スガ先輩、さすが似合いますね。』
「そうか?ありが−、」
『九尾の狐と言えば傾国の美女に化けるので有名ですもんねぇ。』
「…美女?」
「「『ひぃっ。』」」

急激に菅原の笑顔が冷やかなものに変わり、それを見ていた3人が凍りついた。


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