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針谷幸之進の調教。(1/7)
針谷幸之進はイライラしていた。
その根源は、目の前にいる佐伯瑛。
針谷が昼休み、付きっきりでギターを教えているのに一向に上達する気配がなかった。
今は昼休みではなく放課後だが、今日は放課後も教えている。
「なぁ、針谷。ここは?」
「あ―!さっきも教えただろうが!!つか、お前ギター向いてねぇよ!」
針谷はイライラが最高潮に達してしまい、思わず瑛を怒鳴り散らしてしまった。
瑛だって、わざとそうしているわけではない。
それは、針谷自身良く判っている。
自分の器の小ささを少し反省した。
練習再開。
瑛の余りに下手なギターを聴いていると、気分が悪くなってくる。
そこで、針谷は今思いついた"あること"を瑛に提案した。
「なあ、佐伯……。」
「何だよ。」
「もし……次コード間違えたら………」
「…間違えたら?」
「お仕置き、な。」
「は…………?」
"お仕置き"。
その言葉に瑛は胸がはね上がる。
そう。
"あの日"以来、瑛は若王子に身体の関係を強要され続けている。
しかし、相手は針谷だ。
針谷は女子にだってモテる。
そんなことをするはずがない。
「…何だよ、お仕置きって。」
「だーかーら、こういうコト。」
そう言うと、針谷は瑛の顎を掬い上げ、触れるだけのキスをした。
「………!」
考えが甘かった。
瑛は後悔する。
相手は針谷なのに。
まさか、針谷まで……
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