b | ナノ
chain(2/5)
その男の姿が見えなくなるまで目で追う、のしん。
そののしんを見ている、俺。
こんなに近いのに届かない、俺の想い。
男が見えなくなった頃合いを見計らって、
「……のしん、行こ?」
「……ああ。」
――報われない、片想い。
----------------------
「ねぇ、のしん。今度隣町の女子高と合コンするんだけど、良かったら来る?」
「……行かねぇ。」
「そっか……。」
ガヤガヤとした、ファーストフードの店内。
周りのカップルが騒いでいる横で、男2人で寂しく食事。
続かない会話が、俺達を孤独へと誘う。
「……あっ、そうだ!のしん!」
「何だよ。」
「俺、スーパーチャージャーの新作DVD買ったんだ!」
のしんの興味がある話題で必死に繋ぎ止める。
だって、俺にはそれしか出来ないから。
「マジかよ……!」
「良かったら、これから家に見に来る?」
「いいのかよ!?よっしゃ!」
だって、そうすれば、
のしんは俺のこと見てくれるでしょ?
→次へ
←前へ
戻る