gお題 | ナノ

俺しか知らない(1/7)



お前がそうやって簡単にオレ以外の男に笑顔を向けるから……

柄にもなく、不安になるんだ――…。



「あっ、コウ!ごめんね…。待った?」


――待った。

待った待った待った待った!!

お前が笑顔で佐伯と喋ってんの横目で見ながら、一人ボケーッと突っ立って……。


第一、彼氏待たせて他の男と喋るって……

どういう神経してんだよ!?


「……コウ、やっぱり怒ってる?」


少し目を潤ませ、上目遣い気味でこっちを見るお前。

――あぁ!マジ調子狂う!!


「怒ってねぇ!帰るぞ、瑠宇!」

「うん……!」


そう元気良く返事して、

瑠宇はオレの腕にしがみついて

笑顔でオレの方を見る。


――やべぇ……可愛い……。


「コウ、温かい……。」

「そりゃ、なぁ……。」

「もうすっかり秋だね!寒いよぉ……。」

「……………。」


"寒い"と言っているにも関わらず、その短いスカート……。

まぁ、似合ってるからいいんだけど。


「ねぇ…コウ……。」

「何だ?」

「寒いから…温めて欲しいなぁ………なんて……。」


そう顔を赤らめてこっちを見るお前――…。

お前の言う"温めて"がどういう意味かは判らない。


だけど……

だけど、オレにはそういう意味にしか取れないんだ――…。




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