tactics(1/8)



「…ッあ…あぁ…やっ…あっ…あああッ……!」

「…………ッ…」


――最近気付いたことがある。

おれの恋人の様子が、少しだけ変。










「ねぇ〜、真奈美。」

「ん?何?」

「最近さー、声抑えてない?」

「えっ……!?」


おれ達が一緒に住み始めるようになって、早数週間。

最初よりも格段に声を抑えているのが良く判る。


気持ちよくないのか……?


「ねっ、もしかして気持ちよくない?」

「そっ…そんなことない!気持ち……いいよ……。」

「じゃあ何で?」

「慧君……。」

「は……?」


いくら大切な兄だからとはいっても、好きな人が自分以外の男の名前を呼ぶというのは結構気にくわない。

真奈美の口を塞ぎたい衝動に駆られたが、それをそっと我慢する。


「で…、何で兄さんが?」

「お隣の慧君に…声聞こえたら……恥ずかしいから……。」


――なぁんだ。そんなことか。


「別にいいじゃん。慧に聞かせとけば。」

「やだよ!そんなの…恥ずかしい。」


――まぁ、おれだって嫌だけど。

真奈美のあんなに可愛い声、おれ以外の奴に聞かれてたまるか。




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