独占欲(3/9) 「那智君ビックリしてたよ?」 「ああ。」 「私達が付き合ってるってバレちゃったね……。」 「ああ。」 「ねぇ、慧君。」 「なんだ?」 「手、繋がない……?」 何も言わずに、真奈美の手を握って、 そっと、指を絡ませた。 これが俗に言う『恋人繋ぎ』らしい。 夜道で、こんな風に女性と手を繋ぎながら歩く。 昔の僕なら、そんな破廉恥な行為は出来なかっただろう。 だけど、今は。 今は、解るから――…。 好きな人の身体の一部に触れられるということの嬉しさ。 真奈美も…… 真奈美も同じ気持ちなのだろうか……? 「慧君?どうかした?」 「何でだ?」 「だって、何か嬉しそうにしてるし……。」 「そっ…そうか……!?」 「うん……。」 そう言って、真奈美は照れくさそうに僕の方を見る。 その表情――… ――キス、したくなる。 「真奈美……。」 「何?」 「キスをしてもいいか?」 「……そんな改まって訊かなくてもいいよ。だって、私は慧君の恋人…でしょ?」 そっと、真奈美の肩に手を置き、その唇に触れて。 最初は触れるだけのキス。 しかし、だんだんとその口付けは深いものになっていく――…。 →次へ ←前へ 戻る ×
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