独占欲(2/9)



「あはは〜!兄さん変な顔〜!」

「僕が…変な顔だと……!?」

「眉間にシワ、寄ってるよ?兄さん。」


――誰のせいだと思っているんだ……!!


「ねぇ、真奈美せんせい。そろそろ帰る?」

「あっ、うん。もう7時だしね!」

「おれ家まで送ってあげるよ〜。」


――何を言ってるんだ、那智!!

真奈美を送るのは、恋人である僕の役目だ……!!


「大丈夫だよ、那智君!私そんな送ってもらうなんてガラじゃないし!」


真奈美はチラチラと僕の方を見ながら、やんわりと那智の誘いを断る。


「夜道の独り歩きは危険だよ〜?」

「だっ大丈夫だよ!」

「でも、おれが夜道で真奈美せんせい見たら襲いたくなっちゃうもん〜。」

「那智!!」


那智の言葉を聞いていられなくなり、思わず声を張り上げてしまう。


「兄さん、どうしたの?大声出して〜。」

「……真奈美は僕のものだ!!」


――言ってしまった……!

言ってしまったからには、もう後には引けない。


「とっ、とにかく!金輪際、真奈美に触れることは禁止だ!分かったか、那智!!」


一方的に捲し立てて、

真奈美の腕を引っ張り、那智を残して生徒会室を後にした。




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