「とにかく、夜になってあの男が眠ったら、とっとと夢の中へ入れてやる。もちろん、入る時は俺も一緒に……」
「ちょ……ちょっと……!」
 美紗は慌てて青年の言葉を遮った。
「あんた……さっきから何突拍子もない事を言ってるの?
 夢の中なんて……自分の意思で入れるわけないでしょう。それなのに……」
「俺なら出来るからさ」
 美紗の問いに、青年はあっさりと答えた。
「説明は面倒臭いから省くけど、とにかく、俺はお前が望みさえすれば、あの男の夢の中へ入れてやる。
 どうする? お前、あの男の本心が気になるんだろ?」
「そ……それは……」
 美紗は答えに窮した。
 確かに青年の言う通り、彼の気持ちは気になる。
 しかし、そこまでして知りたいかと言われたら、そうでもないような気がしていた。
 だからと言って、何も知らないままでいても、いつかきっと、後悔してしまう。
「――分かった」
 暫しの沈黙の後、美紗は口を開いた。
「あんたの言葉を丸々信じたわけじゃないけど……。
 でも、出来るのならば、彼の夢の中へ案内して。
 その場で……ちゃんと決着を着けるから……」
 美紗の言葉に、青年は腕を組みながら苦笑を浮かべた。
「最初の言葉は引っかかるけど、まあいい。
 約束通り、お前と一緒にあの男の夢の中へ入ってやるよ」


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