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「――ねえ、君……」
ジュンは彼の前に屈み込むと、おずおずと訊ねた。
「君は一体、誰なの?それに……」
それに対し、少年はニヤリと悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「じゃあ、僕が逆に訊くよ。あなたは何故ここへ来たの?」
「――は……?」
少年の言わんとする意味が理解出来ず、呆気にとられて口を開ける。
「何を言っているのか、さっぱり分からないのだけど……」
ジュンは正直に述べた。
「ふうん……」
そんな彼女をどう思ったのだろう。
少年は、まるで品定めでもするように、彼女をジロジロと見つめる。
そして、一通り見終えると、ゆっくりと口を開いた。
「ここはね、心に迷いを持つ者が来る世界。
『死にたい』、『消えてしまいたい』と、強く願えば願うほど引き寄せてしまう。
あなたもそうでしょう。
『私に生きる価値などない』――ずっと思ってきたはず」
少年の言葉に、ジュンはこれでもかと言うほど目を見開く。
「ど、どうして……」
「考えるまでもないよ。あなたはずっと、負のオーラを出しっ放しにしているからね」
「負の……オーラ……?」
「うん。黒……とまではいかないにしても、限りなく近い色をしているのは確かだね。
これじゃあ、いずれ、死神に取り込まれて、本当に命を落としてしまうかも知れないよ」
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