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気が付くと、ジュンは見知らぬ公園の前まで来ていた。
その中には、ろくな整備もされていないのか、すっかり錆付いたブランコに滑り台、そして鉄棒がひっそりとある。
(ここは……?)
怪訝に思いながらも、公園の中へ足を踏み入れる。
(それにしても、こんなになるまで放置されているなんて……)
ブランコの前まで来たジュンは、今の自分とそれらを重ね合わせ、胸が締め付けられそうな苦しみを覚えた。
そして、その場へ屈み込み、ひび割れを起こしている木の腰掛け部分に触れる。
傷を癒すように、そっと優しく。
その時だった。
順の目の前を、一陣の風が通り過ぎた。
突然の事に、ジュンは咄嗟に手を翳し、目をきつく閉じる。
(な……何なの一体……)
驚きつつ、再びゆっくりと瞼を開けた。
先ほどと変わらぬ光景。
だが、違っているものが一つあった。
「いらっしゃい」
いつの間に現れたのか、ジュンの目の前に少年が現れた。
年の頃は十歳前後といったところだろうか。
日本人にしては色素が薄めの髪、そして鳶色の双眸。
身に纏っているものは、活発な印象を与えるTシャツと半ズボン。
これぐらいの子供であれば、今の時季でも、こんな風に露出度の高い格好でも不思議ではない。
しかし、突然姿を現したせいもあるが、少年に対し、妙な違和感を覚える。
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