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空は晴れ。
淡く蒼く、深く碧い。
駆け抜けた突風さえも、星の凪ならば。
「…朝露じゃなくていい。泥混じりでいい。…水でありたいな」
「………」
「あれ、どしたの?頭痛?」
「……支離滅裂。ただでさえ山積み書類で忙しい私の頭をさらにごちゃごちゃにした罰として決算書類一式譲ってあげるから、今日中にきっちり済ませなさいよ。終わるまで帰さないから」
「えー」
「問答無用!」
…空は晴れ。
深く碧く、灯り揺らぎ。
凪にたゆたう夢は、甘くほろ苦く。
掌を伝い、刹那に染みて。
窓枠の中移り変わる色。
朱い黄昏に覚えた虚ろは、軽い溜息。
眼差しに融けて、水になる。
―FIN―
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