12
ミアリが言うように、今日の夜空はよく晴れていた。
蒼白い炎のように、夜を灯している。
「……私は愛しすぎたのよ、この世界を。………あなたは、そうならないで」
この世界を愛して、時に憎んで。
壊したいと願ったり、愛しいと祈ったり。
均整のとれた愛情こそ、この世界に相応しい。
少女はそれだけを言って、口を閉ざした。
だから、リューナートも。
真冬のように白い神父服の裾を翻す。
次いで揺れる金の髪は、流星のように美しかった。
業であるのならば、背負おう。
肩が重くなれば、きっとまた支える手も伸びてくるだろう。
かつてのように。
兄が重すぎた荷を下ろしたいと、自分に寄りかかってきたように、己のそうできるものは、すでにあるのだ。
目の前の少女ですら、…きっと重い腰をあげるだろう。
そう思うと、静かに沸き起こるくすぐったいような心地に至る。
リューナート自身が驚くほどに。
- 153 -
しおりを挟む
[*前] | [次#]
gratitudeトップ 章トップ