ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ







「おぉ……なんてことだ!
この地方に、こんな村がまだ残っていたなんて……」

遠くからやって来たと言う旅人は、あたりを見渡し、目を輝かせてそう言いました。



「ここは見ての通り、これといって目立つものもないつまらない村ですからね。
魔物たちも、さほど気に留めなかったのかもしれませんね。」

「しかし、このあたりの地域はどこも壊滅的な被害を受けた。
生き残った人間も魔物もほとんどいなかったとさえ言われています。
だからこそ、あの戦争は終わることが出来た。
戦う者がいなくなったから…
このあたりが『終焉の地』と呼ばれていることをご存じないわけではないでしょう?」

「それはもちろん……
確かにこのあたりもまったく被害がなかったわけではありません。
亡くなった者達も少なくはない。
それに…わしらはこの何年か、この村の再建にどれほど尽力したことか……
寝る間も惜しんで尽くしたからこそ、この村はよみがえった…そういうことなのですよ……」

そう話した老人の深い皺に囲まれた小さな瞳が、旅人にはとても寂しそうに見えました。



「そうだったのですか……
失礼なことを言って申し訳ありませんでした。
皆さん、ご苦労されたのですね。」

「いえ…
わしらはこの村が大好きでしたから……
だから、どうしても、よみがえらせたかったのです…」

老人がそう言うと、そばにいた村人たちは皆同じように頷きました。


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