ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ




「ミト…ロザリーの願いは叶えられた。」

そう言って、アルヴィル様は水面に手を入れ、凄惨なその光景をかき消された。



「な、なんですって…」

今、見た光景が頭から離れず、私は震える声でそう言うのが精一杯だった。




「ロザリーは願い通り父親と出会う事が出来たのだ。」

「で……では、ロザリーは助かったんですか?」

ほっとしてそう訊ねた私に、アルヴィル様は俯いて首を振る。



「そ、そんな…それではロザリーは……」

一瞬見えたように思えた希望の光が、幻想だった。
ロザリーはやはり死んでいた…



「ミト……ロザリーの父親は、ある時、突然、行方不明になった。
彼は隣町からの帰り、急な病のために意識が遠退き、その時に運悪く足を滑らせて川に落ちた。
……それを見ていた者もおらず遺体はまだみつかってはいないから、彼が亡くなった事はまだ誰も知らない。」

「そ、それでは……ロザリーの願いは……」

私は全身の震えを止める事が出来なかった。
死んだ父親に会うということは…それはロザリーが死ななければ叶えられない願いで…
私は、そんなこともわからずに、なんとか祈りを叶えてあげたいとせっせと星の力を集めてロザリーに送り続けて…



(ロザリーを殺したのは……私…?)



そう考えたら、私は恐ろしさと後悔で涙が溢れ、その場にへなへなと座りこんでしまった。


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