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「セリナ、俺にも触らせてくれよ。」
ラスターは、セリナから双子石を受け取り、様々な方向から眺め透かす。
「意外と重さはあるんだな。
それに、ずいぶんとひんやりしてるんだな。」
「私にも持たせてくれ。」
ラスターから双子石を受け取ったダルシャは、ふと後方の二人に目を向けた。
「二人共どうしたんだ?
こっちに来て触ってみないのか?」
「え…あ…あぁ、俺達けっこうそそっかしいから、そんな大切なもの、落として割っちまったら大変だし、ここから見るだけで十分さ。」
その言葉に、ラスター達は顔を見合わせた。
「バッカだなぁ…
この石は願いを掛けた者じゃない限りは壊れないんだぞ。」
「えっ?どういうこと!?」
「……だから、この前言っただろ?
双子石は願いを解除する石だって。
解除したい時には、願いを掛けたものが願いを解除することを宣言すれば良いんだ。
見てろよ、たとえば、今ここでダルシャが手を離すと…」
ダルシャは双子石を持つ手を離した。
二人は声にならない叫び声をあげたが、双子石は床をはね、そして転がった。
「この石は、斧で叩いても割れないんだよ。」
カークが話に割り込んだ。
「そ、そいつはすごいな。
で、でも、万が一ってことがあるから、俺達はやめとくよ。
あ、そうだ、俺達、外にいるから…」
フレイザーはエリオットの袖をひっぱりそそくさと祠を後にした。
「エリオット、あれ、見たか!?
あれはどう見ても…」
「間違いない!!
僕達がみつけたあの硝子玉だ!
で、でも、どうして?」
祠から少し離れた木陰で、二人は興奮した様子で言葉を交わす。
「そんなこと、わかるかよ。
それより、エリオット、青い石で何を願ったか覚えてるか?」
「覚えてないよ。
ただ、僕がこの世界に来たいって願ったのは赤だった。
それは間違いないよ!」
「ちょっと待てよ…あの箱の中にあった色は、赤と青と…緑もあったよな?」
二人は真剣な面持ちで記憶の糸を手繰り寄せる。
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