「あぁ〜…
やっぱり陸は良いなぁ…」

ラスターはそう言いながら、空に向かって大きく腕を伸ばした。



「ラスター、あなた、今度の船旅では船酔いしなかったじゃない?
それなのに、妙におとなしかったわね。
私達とも食事以外にはほとんど顔を合わせなかったし…一体、どうしてたの?」

「なんだよ、それ、どういうことだよ。
俺は船酔いしてないとおとなしくないってことかよ、ひでぇなぁ…
今回は、ほら、知らない人達と同じ部屋だっただろ?
それが意外と気が合ってな…」

「あぁ、昨夜一緒に夕食を食べてた人達ね?」

「そうだ。
皆、ジャーマシーの商人で、今回初めてポーリシアに仕入れに来たらしいんだ。」

今回は部屋こそみなバラバラだったが、食事だけは仲間全員で集まって食べることにしていた。
だが、昨夜の夕食はラスターだけがいなかった。
同室の人達と食べると言って、少し離れたテーブルにいたのだ。
ラスターと一緒にいたのは、皆、ラスターの父親くらいの年の年配の男達だった。



「ラスターは、同世代の人とは駄目だけど、年上の人とは気が合うのね。」

「いちいちひっかかること言うなぁ…
どういうことだよ、セリナ。」

「あら、自覚がないの?」



いつものように元気に会話を交わすセリナとラスターの少し後ろには、黙りこくり俯いたままで並んで歩くフレイザーとジャックがいた。
お互い、何か話そうとは思いながら、ついそのタイミングが掴めず、相手が何か話してくれるのを待つうちに余計に気まずくなってしまったのだった。

船の着いたフォスターの町は、今までに立ち寄った町とよく似た港町だったが、他所の大陸からの者達を歓迎する雰囲気がとても強い。
港のすぐ傍から、観光客相手の土産物屋が軒を連ね、行き交う人々もどことなく皆活気付いている。



「みんなー!
今夜はここに泊まるよ〜!」

ダルシャと一緒に先頭を歩いていたエリオットが、宿屋の前で手を振り声を張り上げた。


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