結局、ジョーンズは二人の攻撃に打ち負かされ、値段を大幅に下げた。
フランクリンの資金を全部出しても後半分程足りなかったものを、後五分の一というところにまで引き下げたのだ。
気が変わらないうちにということで、すぐに契約が交わされた。
残りの五分の一は毎月分割で支払う事になったため、一生懸命働けばブランドンにも払えないことはない筈だ。







「おめでとう!!」

「ありがとうございます!これも皆様方のおかげです!
本当にありがとうございました!」

その晩、私達はブランドンの屋敷購入の祝杯をあげた。
屋敷の名義人は幼いステファンにして、ブランドンはその後見人になった。



「あの日、あなた方と出会えなければ…
僕はきっとあの屋敷を諦めていたと思います。
フランクリンの遺志を継ごうとあんなに堅く誓った筈だったのに、僕は屋敷の値段を聞いた途端にもう駄目だと思ってた…」

「無理もないさ。
あんな金額を言われたんじゃ、誰だってきっと絶望すると思う。
でも、本当はそんな時こそ粘らなきゃならないんだ。
駄目だって思って投げ出すのは楽だが、どんなものにも1%くらいの希望はあるもんだぜ。
そのちっちゃい希望にすがりついて…そう、結論を急がないことだな。」

「その通りですね。
でも、それでもあなた方に出会ってなければ、僕だけじゃどうにもならなかったと思います。」

「あんたは、ステファンの父親と不思議な縁を感じたって言ってたよな。
それはきっとあんたがそういう役目をするために神様に選ばれたんじゃないかって思うんだ。
神様もあんたを選んだからには手助けもしてくれるさ。」

クロードはリュックのそんな話に苦笑いを浮かべていた。
彼にはとても馬鹿げた話に聞こえることだろう。



「さぁ!明日からは、忙しくなるぜ!
今夜はあんまりたくさんは飲めないな!」

「あの…忙しくなるっていうのは…?」

「あの屋敷を孤児院にするって話だよ!」

「えっ!それも手伝って下さるんですか?!」

「当たり前だろ!
元はっていうと、マルタンが言い出したんだからな!」

私は、リュックに向かって深く頷いた。


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