011 : 地下洞窟1






「ま…まさか!」

私達が屋敷のことをブランドンに知らせに戻ると、彼は信じられないといった表情で驚きを顕わにした。



「本当だって!さ、行くぜ!」

「ちょっと待って下さい!」

ブランドンは、眠るステファンを起こして背負うと、私達と共にあの屋敷に戻った。
屋敷の門の前には先程のルーカスが待ち構えて手を振っていた。



「おぉ…これは…!」

屋敷を見たブランドンが声を上げた。




「どうしたんだ?」

「こ…これは、あの城にそっくりだ…
戴冠式を見に行った異国の城に…」

「そうだったのか…」

「しかし…これが個人の屋敷なのですか…
とんでもない広さじゃないですか。」

ブランドンはその敷地の広さに圧倒されたように口を開けていた。
ここを初めて見た者なら当然の反応だ。



「中を見たら、きっと腰を抜かすよ。」

ルーカスはそう言って、肩をすくめた。



「まさか、ここにも地下庭園があるんじゃないだろうな。」

「なんだ、おまえさんは知ってたのか?
ただ、庭っていうよりは洞窟みたいなもんだけどな。」

「ち…地下に洞窟が?!」

ブランドンはすでに頭が混乱しているようだ。



「さ…行こうか…」

ルーカスが門の鍵を開き、私達は広大な敷地に足を踏み入れた。
母家は見えているのになかなか辿りつかない。



「ステファン、ここでかくれんぼしたらみつけてもらえそうにないな。」

リュックの冗談に、ステファンは眠そうな顔を向けただけだった。
雑談を交わしながら、散歩程度に歩くと、やっと母家に辿りついた。



「さぁ、入ってくれ。」

ルーカスが玄関の大きな扉の鍵を開けてくれた。



「こいつはすげぇ…!」

私達は一斉に上を見上げた。
玄関ホールは吹き抜けになった開放感のある空間になっており、丸い天井には天井絵までが描かれている。
ふくよかな天使達が、気持ち良さそうに空を舞い踊る光景だ。
大きな窓からは明るい日差しがさんさんと差しこみ、この窓を開け放したら、気持ちの良い風が吹き込んで来ることだろう。

長年住む人もいなかったというのに、まるでここには今でも人が住んでいるような気配を感じた。


- 84 -

しおりを挟む
コメントする(0)

[*前] | [次#]

お題小説トップ 章トップ

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -