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二人が部屋に戻ると、ちょうど終わったのか絳攸と秀麗が机の上の書物を片づけていた
「失礼致します。主上、紅貴妃様、お茶をお持ち致しました。」
「あぁ、秀華。ありがとう。」
秀麗の表情がほっこり綻んだ
秀麗の張り付けた笑みじゃないことに気づいた劉輝は秀華を見た
「そなたは?」
「お初目お目にかかります主上。紅貴妃様付きの女官、秀華と申します。」
流れるようなその仕草に、劉輝はどこかの身分の高い出の娘なのだろうと感じた
「秀華はね、私の妹なのよ。」
秀麗の発言に劉輝は驚き目を見開いた
「そう、なのか!?」
「はい。」
劉輝は秀麗と秀華の顔を交互に見てポツリと呟いた
「全然…似てないのだな」
秀麗と秀華は気にしていたことズバッと言われ思いっきり顔をひきつらせた
「似てなくて悪かったわね。」
やや微妙な空気になったところに、一人の男が現れた
「やっと、やる気を出してくれたようで嬉しいよ劉輝…」
劉輝はその姿を見るなり勢いよく椅子から立ち上がった
その反動で椅子がガタリと後ろに倒れる
「なななな…!!!なぜここにいるのだ星宿!!!!!」
星宿を知らない秀麗は誰だろうと首を傾げた
「なかなか政事をしないと聞いてどうしたものかと心配していたが、もう大丈夫なようだな。」
劉輝と親しげに話す彼は一体どういう関係なのか秀麗は思考を巡らす
(官服を着てるわけでもないし…この人は…)
相当身分の高いのは察したが、この国の王より身分が高い者は存在しない…劉輝と対等に話ができるということは…
(まさか…他国の?)
秀麗はかわんわん騒ぐ劉輝と星宿を不躾ながらも思わずじっと見てしまった
その視線に気付いた星宿は、にこりと笑みを浮かべ騒ぐ劉輝を尻目に秀麗に一歩歩み寄った
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