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  05



「朱雀七星士、星宿様…一体、どんなお方なのかしら…」

秀華は府庫へと続く回廊を物思いに更けながら歩み角を曲がったところで、不意に誰かとぶつかった

「っ!?」

「おっと、」

バランスを崩しそうになったところで、お腹に手を添えられ転ぶのは回避できた

しかし、視界いっぱいに広がった藍色の衣に秀華はハッとし、すぐに身を離し頭を垂れた

「も、申し訳ございません。」

「顔を上げて下さい、美しい君」

そう言われ、顔を上げると何人もの女性を虜にしそうな整った顔がそこにはあった

「おや、見慣れない顔だね?」

「申し遅れました、私先日紅貴妃様付きの女官として後宮に上がりました紅秀華と申します。」


後宮でもなかなか見れない見事な拝礼に男は「へぇ…」と内心感嘆の声を上げた

「私は左羽林軍所属藍楸瑛、以後お見知りおきを」

二人が挨拶を交わしていると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた

「楸瑛!貴様、何昼から女を口説いてるんだ!」

「絳攸」

「絳攸様…!」

秀華が絳攸を知っていると思わなかった楸瑛は意外そうな面白そうな表情を浮かべ友人に問いかけた

「女嫌いな君が女性と知り合いなんて、どういうわけだい?」

「バカ言うな…彼女は黎深様の姪だ。面識があるだけだ!」

「なんだ、つまらないね…からかいがいのない」

楸瑛はそういうと肩をすくめた

「にして、貴妃様とは面識がないのに秀華殿とは知り合いなんておかしな話だね」

「あぁ、たまたま秀華と昔会う機会があっただけだ」

絳攸は口が避けても、黎深が未だ叔父だと秀麗には明かしていないからだとは言えなかった

「お久しぶりです、絳攸様」

「久しぶりだな、秀華。ところで、楸瑛の奴には何もされていないだろうな?」

「いえ、ただご挨拶を交わしていただけです。」

「そうか、ならいいが…楸瑛!くれぐれも、邵様の娘に手を出すなよ!!」

としっかりと釘をさした

「まったく、私ってそんなに信用ないかい?」

飄々とした態度に絳攸ははぁとため息をつき当たり前だと答えた

「仲がよろしいんですね」

そんな二人をみて素直な感想を述べたところ、すぐに否定された

「どこがだ!!」

秀華は長く立ち話をしてしまったなと思い、そろそろ立ち去ろうと、いまだ言いあいをしている二人に声をかけた

「申し訳ありませんが、そろそろ貴妃様の所に行かなければなりませんので失礼いたしますね。」

「あぁ、長く引き留めて悪かった」

「あぁ、すまなかったね秀華殿…行く前にひとついいかな?」

「はい、なんでございましょう?」

秀華は何だろうと首をかしげた

「貴妃様は、主上を変えることができると思うかい?」

楸瑛の真剣な眼差しに秀華はにっこり笑った


「はい、勿論。秀麗は必ず主上を変えて下さいます。」

「理由は?」

「ありません。言うならば、私はお姉様のことを信じていますし、それに…」

「それに?」

「星が教えてくださいました!では、失礼致します。」

「「星?」」

楸瑛と絳攸はなんのことだと首をかしげた





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