ナマモノ | ナノ



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ジルは全てを教えてくれた。
もちろん、彼女の知る範囲だから、きっと、私がついた嘘だろう部分も気がついた。
それでも私を知るには十分だったし、この性格がきっと私本来のものなのだとも。
あとから来た幼女2人に、女性4人、男性2人の大所帯。
ぱちぱちと瞬いて、とりあえず、自己紹介してもらっていい?と口にした。

予想以上に、私は好かれているようだ

唖然とした顔を浮かべたメンバーに、そういえば、彼らには言ってなかった、と思い出した。

「ごめんごめん、私ね、記憶なくなっちゃってて、」

肩をすくめれば、彼らは、何か言いたげにして、それから、順に自己紹介してくれた。
まずは、最初にジルと一緒に来てくれていた二人。

「俺はレオン、レオン・S・ケネディ。ヒサメに想いを寄せる22歳のイケメンさ。」
「…もっと、大人になってからね。」

言うに事欠いて、と言えばいいのだろうか。
だが、そんな私の言葉に嬉しそうに笑った彼。
変わらないな、と嬉しそうな表情で、笑う。
ルイスにはアンタに命を救われた、とか言われた。
そんな大げさな、と苦笑しながら、よろしく、と手を差し出せば、肩をすくめた彼が手を取ってくれる。
それから、アリス、クリス、クレア、アンジェラ、シェリーが自己紹介してくれた。
謝りながらエイダとジョンの二人が、よくわからないが睨みながらアシュリーが。
それから、彼らは、それぞれの口ですべてを語ってくれた。
一番客観的に語ってくれたのが幼女二人って…どういうことなの。
思わず脱力しかけながら、全てを複合して、結論づける。
うん、そりゃ忘れたくもなるわ。
なにそれ、身の丈以上の怪物と戦うとか、死ぬって、真っ先に死ぬって。

「まあ、アリスとは記憶喪失同士で仲良くなれそうだし、よろしく。」
「…私は、アンブレラの秘密を守るために強制的だったけどね。」

肩をすくめて笑う彼女は、とても綺麗だ。
ふふ、と目を細めて、笑い返す。

「私はきっと忘れたかったんだと思う。今までも含めて、死に対する記憶を。」
「ヒサメ、」

レオンが眉を寄せて、私を見た。
ジルも少し不機嫌そうな表情浮かべる。
その反応に笑って、より近くにあったたさらさらとした金髪を撫でた。

「記憶がなくても、私は私。勿論、それで諦めるなら、それもそれで結構だけれど。」

に、と口角をつり上げて、太陽の光が射す、窓の外を見つめる。
どこか、異世界に来てしまったかのような、期待と不安が私の中で渦巻いていた。

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