ナマモノ | ナノ



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若干、嬉しそうに見えるのは気のせいだろう。
眉を寄せて、レオンを見る。

「絶対だからね、約束してよ、」
「約束する。」

べ、別に緊張してる訳じゃないんだから

レオンの声に頷いて、おずおずと端に近寄った。
ぽん、と地面を蹴って、目を瞑る。
落下のあの感じがあってから、暖かく、たくましい腕に抱きとめられた。
…横抱きで。
安全に下に降りられたことに感謝しよう、うん。
自分に言い聞かせるようにして、レオンに降ろしてもらえるよう伝える。

「…。」
「あの、レオン?降ろして欲しいのだけれど。」

もう一度告げるが、思考の渦にでもハマっているのか、視線すらあわない。
正直、困った。
手を持ち上げて、レオンのほっぺに手を当てる。
ぺしぺし、と簡単に叩いてみるが、反応は相変わらずない。
その割りに、腕にはしっかり力が入っていて、がっしり掴まれている。
…これどうすればいいの?
早く装備を戻したいんだが。
てか、正直、急がないと私の意識的な問題もあるんだよね、不安。

「レオン、レオン?!」
「…悪い。」
「そう思うなら、早く降ろしてくれると嬉しいんだけれど。」

そう告げれば、私が立ちやすいようにか、しゃがんだ上で足を地面に近づけてくれた。
ありがとう、とだけ笑って、ブーツを履いて、コートを着る。
それから、日本刀やその他武器を装備して、早く行こうとだけ声をかけた。
未だはっきりしないが、とにかく頷いたレオンを無視して一人出口に向かう。
気がついた彼が慌てて追いかけてきて、ほっとしながらも、振り向かない。
ついでに、速度を緩めたりもしない。
理由?
顔が赤くなってる気がするからに決まってるじゃないか。
ふと、嫌な予感がして足を止めた。

「ヒサメ?」
「誰か、いる。」

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