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ジルが苦笑しながら来てくれる。
ごめん、と一度謝って、周りを気にせず、涙を流した。
もう、嫌だ、できることなら逃げてしまいたい。
私には関係ないのだと、切り捨てて、絶望を消し去りたい。
ぐちゃぐちゃな気持ちを消すために、全て、流してしまいたかった。
泣くことは、悪いことじゃないと知っている
「やっぱり、変わってないのね。」
苦笑がちに告げられるジルの言葉に、簡単に変われるものじゃないわ、と返す。
少し楽しそうに笑う彼女が居るのが伝わってきた。
「ごめんね、私だけこんなんで。」
「いいのよ、ヒサメは警察でもなければ、戦いに慣れている人間でもないのだから。」
その言葉に苦笑しながら、目を細める。
それから、彼女は小さく笑って、そんなヒサメだから、私は好きなんだもの、と続けた。
頷いて、止まった涙を指で拭う。
「ありがと、もう大丈夫。」
「そう?じゃあ、私は戻るわね。」
「うん、ごめんね、ありがとう。」
洞窟に戻ったジルを見送って、はふ、と息を吐いた。
緊張感を取り戻さなくちゃ、と思いながらも、もう少し、このままでいたいとも思う。
「ヒサメ、」
「ミスターケネディ?」
そう呼びかければ、不満そうな顔が帰ってくる。
その顔がなんだか面白く感じられてしまって、クスクスと笑いながら、なぁに?と首を傾げた。
私の反応に驚いたように固まった彼は、それから、その場に膝をついて、私を抱きしめる。
「…?えっと?」
「なんで、」
どことなく悔しそうな声が囁かれた。
その声で、自分の心臓が激しく動き始めたことに気がつく。
とりあえず、離れようか、と心の中で叫んで、表面だけはわからない、と言った風を装う。
「俺じゃ、頼りないか?」
「だったら、泣くこともなかったんだけどね。」
弾かれたように、私の肩に頭を預けていた彼が顔を上げた。