15
「約束ですからね、聞きますよ。」
説教でも、なんでも、と肩をすくめる。
レオンさんは、私のすぐ隣に座ってきた。
…近くね?エイダさんに勘違いされるぞ、と思いながら、若干離れようとする。
が、掴まれるようにして、それを阻止された。
いつの間にやら、フラグを立てていたようです
「それで、気を失ってた言い訳は?」
「…歩いている時から辛かった。あと、喋るのも限界だった。」
馬鹿が!と怒られた。
はい、すいません。と正直に英語で謝って、善処しますと日本語で答えておく。
む、と眉を寄せられたが、もう終わりかな?と皆の方をちらと見た。
頬に手を当てられて、レオンさん側を向かせられた。
顔が恐いぜ兄さん、なんて思いながら、必死に目を逸らす。
なんか、目を合わせちゃいけない気がする、あわせたら、色々終わる気が。
「家族はジルだけでいい、とは、どういう意味だ?」
「あー…私の髪の毛白いでしょ?元々は黒だったんだよね。」
いきなり髪の毛の話を始めた私を怪訝そうに見るが、それでもちゃんと話を聞く彼。
真面目か、と思いながら、それでね、と話を続ける。
目の前で、両親が通り魔にやられ、兄弟は私を守って…で、ショック過ぎて、髪が真っ白になったって訳。
え、親族は勿論いたけど、もう関わるのが嫌でねぇ、まあ、ジルにはそんな言い訳通用しなかったんだけど。
とにかく、そんなこんなで、恋人も作る気がないし、家庭なんて以ての外、怖過ぎて無理。
言って、苦く笑えば、レオンさんは気まずそうな顔をして、そうか、と呟く。
それから、数秒経って、ぽつり、声が聞こえた。
「強い男ならいいのか?」
「ん?」
「恋人だ、お前が守る必要もない、簡単にも死なないような、そんな男なら、いいのか?」
「…そう、かもね。そんな男が私を好きになるとは思えないけど。」
肩をすくめて、小さく笑う。
もし、そんな人が現れたら、私は惚れるのだろうか?
今の状況で言う、クリスかレオンのような人間が、この先、私の前に現れるとは思わない。
ジルからの紹介では会えるかもしれないが、ジルの好みと私の好みは結構ズレているのが問題だ。
まあ、その辺はどうにでもなるか。
「まあ、ジルの紹介に期待、かな。」
あの指の折り方なら、少なくとも5人は紹介してもらえそうだし、と小さく続ければ、ふと、レオンが呟く。
「…俺は?」