08
『無理ー!!怖い怖い、こっち来ないでー!』
叫びながら、距離をとり、銃を撃つ。
命中したところで、まるで虫でも止まったと言いたげな様子に涙が止まらない。
ホントに、本当に辞めて欲しい。
こっちは、動きが俊敏じゃないんですけど!
なんて言っても聞いてもらえるはずもなくて、走ったり、飛んだりしながら、必死に応戦する。
とりあえず、ジルとシェリーが逃げる時間位は稼がないと…!
どうしたことか、目から汗が止まりません
一瞬たりとも気を抜けない状況で、何を悠長な、と思うかもしれないが。
人間、極限になるとどうなるかわからないものだ。
とりあえず、私は大泣きするらしい。
止まることを知らないように涙が次から次へと頬を伝う。
『ホント無理、何それ、ランチャー?!』
「があああああ!」
『ひぃー!!』
慌てて跳んで避けた。
最中にそのランチャーの本体部分にDE357で弾を打ち込む。
が、爆風によって飛んできた瓦礫で思いっきり背中と右肩を強打した。
『〜〜〜〜っ!!』
あまりの痛みに肩を抑えてうずくまっていると、その大きな存在は、別の命令でも下されたのか、離れていく。
それを唖然と見送ってから、ヨロヨロと立ち上がった。
煙草でも吸ってやろうかと思ったが、ジッポをシェリーに渡したことを思い出して、首を左右に振る。
とりあえず、後を追わなくては、と考えた瞬間の足音。
そちらに目を向けると、一人の科学者さんらしき人が、自分に薬を打っていた。
叫び声を上げたと思ったら、そのまま、変容していきまして。
『む、無理無理、やめてー!!』
首を左右に振って、後ずさる。
が、それで諦めてくれる敵なら、私たちは最初から苦戦していない。
先ほどの怪物さんと同じ位のサイズになった博士は、一歩、一歩と近づいてくる。
『ほんと、そういうの無しでお願いしたいんだけどっ!!』
涙でにじみそうになる視界を必死にクリアにする。
体中の水分が目から出てるんじゃないか、とすら思う。
「ぐがああ!」
『だからホントにやめてって!』
私は、銃を50口径ひとつに替えて、照準を合わせた。