旦那 | ナノ



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ざっと、50はいったんじゃない?
首を傾げると、リョーちゃんはマジかよ、と頬を引きつらせた。
にっこり、笑って告げる。

「湘北もほとんどオッケーだよ、身長が足りないだけでね?」

あちゃー、と額を抑えた、彼にキョトンとする湘北面子。
その反応が正しいと思います。
どういうことだい?と木暮さんが首を傾げる。
相変わらず、Tシャツのセンスが素晴らし過ぎて、なんかシュール。
リョーちゃんが頬を引きつらせたまま言う。

「コイツ、動きを丸々コピーできるんですよ。最悪。」
「あのね、最近、もっと凄い使い方が出来るようになったんだよ。」
「は?」
「相手のリズムとあわない人間を選択して使ったり、ディフェンスするときに相手の動きを考えたり。」
「うわぁ…、お前それ人じゃねぇよ。」

なんて失礼な。
くいくい、と服を引っ張られる。
なんだ?と思ってそちらを見れば、嬉しそうな目をした富中エース。
ボールを渡されて、腕を引っ張られる。

「ちょ、ちょっと待って、私、制服なんだけど。」
「……、」

少し困った顔をした彼は、そのまま更衣室に連れて行ってくれた。
早く、早く、とでも言いたげな目に追い立てられるように中に入って着替える。
荷物も更衣室の端の方に置かせてもらい、更衣室を出た。
軽く準備運動をしてから、よーし、いいよ、と笑いかける。

「あ、私ジャンプされたら手届かないから、そこまで楽しめないかもしれないけどいいの?」
「いい。」

即答した彼は、だむだむ、とドリブルをつく。
軽く肩をすくめてから、様子見で、池上さんのリズムをお借りした。
なんたって、ディフェンスに定評があるからね!
と思いながら、富中エースのリズムを口ずさむ。
驚いたような顔をした彼の動きを見極めながら、(私から見て)右に動く、と判断し、右手を伸ばした。
ぽん、と軽い音がしてボールが転がる。
リズムを変えた。
そのボールを持ち、ドリブルしながら、反対側のリングへ向かう。
慌てることなくディフェンスについてきた富中エースに、一瞬止まるそぶりを見せた。
きゅ、といい音を立てて止まろうとしたそれを一気に抜去る。
が、やはりというか、すぐに立て直した。
目の前に来た彼を左手で抑えるようにして、右手を高くする。
そのまま飛び上がり手首を使ってシュートを打った。
バックボードにあたって、リングを通ったのを見て、ほ、と息を吐く。
勢いよく、振り返った。

「見た?!」
「いつの間にフックシュートなんて覚えたのよ、氷雨。」
「実践じゃぁ、初めて成功だよー。」

びっくりしながらも嬉しそうに笑う彼女は、駆け寄ってきて、ぎゅうぎゅうと抱きついてくる。
はいはい、と背中を叩いていれば、リョーちゃんから激しい嫉妬の視線が突き刺さった。
にっこり笑って告げる。

「彩子は私の親友だよ、リョーちゃん、」
「マジで…!?」

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