旦那 | ナノ



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「さてと、一年生に依頼してこないと。」

肩をすくめて、ビーと凄い音を立てて、ランニングの終了を告げた。
そこに顔を出して、様子を見る。
あーあ、死屍累々。
こりゃ、半分は私に回って来るかもなぁ。

「一年せーい、依頼があります。」
「なん、ですかー?」
「うーん、マネ希望のこと1on1して欲しいんだよね。全部で14人。」

一人じゃなくてもいいんだけど、と声を上げると誰かから報酬はなんですか、と。
ああ、そっか、依頼だもんね、報酬は必要だよね。
んー…何が良いだろう、食べ物とかかなぁ、喜ぶか?

「何が良い?何か欲しいものとかある?お金は出せないけど。」
「俺、先輩に勉強教えて欲しいです。」
「おかしが良いッス!」
「噂のご飯をごちそうになりたいです。」
「んー、じゃあ、対戦してくれたら、お菓子あげるよ、これは希望聞くから。で、勝ったらお願い一個叶えてあげよう。」

勿論、1年生の時の私のノートとかも報酬として渡そうじゃないか。
と、笑えば、目を輝かせた1年生と、その他。

「氷雨ちゃん、それは1年生だけなの?」
「氷雨、俺も参加させてもらいたい。」
「白雲、お前のノートは俺のものだ。」

宗くん、紳先輩はわかってた。
絶対なんか言ってくると思ってた。
でもね、武藤さんにノートを希望されるのは予想外だった。
ああ、でもそうか、スポ選か。
…スポ選を馬鹿にしている訳じゃなく、純粋に時間割りが違うからなんだよ?
ABとかの差だったりするけど、受験に必要な場合もあるからね。

「…えーっと、1年生にお願いしたと思うんですが。」
「1年生だけなんてズルいと思わない?」
「いや、むしろ、スタメンの方にお願いするとか申し訳ない。」
「いいだろ、俺たちにやらせてくれよ。」
「…勝てたら、って話にしてあるので、無理です。絶対勝てないですよあの子たち。」

むりむり、と手を振って、諦めてもらうように告げる。
が、どれだけノートが欲しいのか、武藤さんが諦めない。
後の二人はどうにでも出来るからいいよ。
ああもう、面倒な。

「どの教科が欲しいんですか?」
「くれるのか?」
「いえ、貸しますよ。そのノートを欲しいって言う子がいればその子から借りて下さい。」
「俺たちはどうしてくれるんだ?」
「あー…二人は何が欲しかったんですか?」

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