旦那 | ナノ



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にっこり、笑って言えば、生意気な一年生が口にする。

「あたし、バスケの相手としてきたんですけど。」
「それは募集してません。マネージャーありきの相手です。」
「白雲がやってた仕事ちゃんと見てたかー?…って、あー、お前だめだわ、資格がない。」
「は?何それ。」

その半ギレの言葉に橘くんは全員に成績表、と書いてあるプリントを渡した。
そこには座った回数、話した回数、見学時の様子が書かれており、隣に時間まで書いてあるので言い逃れ出来ない。
で、この成績が一定以下だとマネになる資格はなし、ということになるのだ。

「そんなこといってなかったじゃない!」
「初めての部活で、10回以上も先輩からの指示を無視するやつなんていらねーよ。」
「そもそも、言ったらちゃんとした情報が集まらないでしょう?」

私と橘くんの言葉に涙ぐむその子。
困った、というような表情をする橘くんに、仕方ないな、とため息を吐いた。

「わかったわ、この後、1年生と試合して、その後、私と試合してどちらも勝てたのなら、もう一度チャンスを上げます。」
「ふん、最初からそうしてくれれば良いのよ。」

涙何処行ったよ、おい。
なんて思うが、元々嘘泣きだったのは知っているので何も言わない。
その自信満々な様子に首を傾げて言う。

「ただし、どちらかで負けたのなら、マネージャーは諦めてもらいます。」
「…わかったわ。」

ふん、と鼻を鳴らす彼女に、はぁ、とため息を吐いて、続ける。

「他にも、彼女と同意見の子がいれば、それだけで評価します。つまり、今日負けたら、明日は無し。」
「ま、勝っても明日の仕事ぶりによっては諦めてもらうけどな。」

肩をすくめた橘くんに、反論したそうな子たち数人。
え?二、三年はどうしたのかって?
諦めた半分に全員入っていましたとも。
しかも、残った14人は皆彼女に同意見らしい。
どれだけバスケに自信を持っているのか知らないけど…と思いながら見る。

「言っておくけど、男子バスケ、だからね。」
「は?わかってますけど?」
「まあ、体験すれば嫌でもわかるんじゃないかな。」

ひらひらと手を振って、肩をすくめた。
私もそろそろ男子バスケになれてしまったが故に、女子バスケは出来ないだろうと思う。
女子バスケはもっと、丁寧で、ダンクもなくて、シュートカットもほとんどない。
スクリーンアウトと言っても程度はあるし、ボールが移動するスピードが全然違う。
繊細で丁寧な女子バスケと豪快で力強い男子バスケは別物だ。
女子バスケではファールでも、男子バスケで笛が鳴らないのはよくあることで。
まあ、どうでも良いけどね。

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