旦那 | ナノ



065
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湘北vs陵南

帰ってきました、日本!
予想外に時間が取られて、気がついたら、予定より帰国が遅れました。
え?アメリカ編については何もやらないのかって?
ほら、キャラが出てこないので、そのうち番外編辺りで。
で、今日は湘北vs陵南の練習試合の日。

「ちょっと、彰くん!まだ寝てたの?!」

今日は一緒に連れて行ってくれるというので、待っていたのだが、全然連絡がない。
そろそろ危ないと思って、荷物をもって彰くんの部屋に入れば、未だに寝ているその男。
唖然として、叩き起こす。
布団を片付けさせている間にサラッと朝食を作り、彰くんが食べている間に制服を準備。
着替えたり、歯磨きしたりとしてもらう間に食器を洗って、タオルを私の鞄に入れる。

「もう行ける?」
「行けるよ。」

家から出て、自転車で駅まで行く。
駐輪場に自転車を止めている間に、彰くんが切符を買っておいてくれた。
電車に乗りこんで、暫く経てば目的の駅に着く。

「やべ、走るよ、氷雨ちゃん。」
「え、ちょ、嘘!?」

荷物は電車で彰くんが持ってくれたので、そのまま、彼が持っている。
右手を掴まれて、全速力でダッシュ。
…さ、流石に彰くんの速度でこの距離は無理、限界突破。
なんて思っていれば、彰くんは扉を開けて大きな声を上げる。

「チワース!!!」

手は繋がれたまま、背中に隠されるように立たされる。
何だこの行動?と思いながらも、わりィと手を挙げた彰くんに田岡先生が近づいてきた。
ぐい、と腕を引かれて、田岡先生の目の前に引っ張り出される。
私を見て、目を見開いたその様子にひぃっ、と思わず声を上げた。

「白雲、今日は頼むぞ。」
「りょ、了解です。」

ぴ、と指差されたのは陵南ベンチ。
コクコクと頷いて、彰くんと田岡先生のやり取りをため息を吐きながら見てた。
とにかく、湘北側とは全く目を向けることが出来ないまま、陵南側に座らされる。

「お久しぶりです魚住さんに越野君と陵南の皆さん。」
「ああ、久しぶりだな。」

ふ、と笑う魚住さんにこくりと頷いて、吃驚した顔をしている越野君に笑う。
私の表情を見てか、はぁ、とため息を吐いた彼に苦笑を返した。
ふと、彰くんが目の前にやってくる。

「氷雨ちゃん、しっかり見ててね?」
「そりゃ、部活休んでるし?ちゃんと見ないと怒られるから。」

肩をすくめれば、彰くんはそうじゃなくて、と不満そうに呟く。
その反応に首を傾げて、ツンツン頭を崩さないように撫でた。
ふわ、と近づいてきた彼は、耳元で囁く。

「俺だけを見つめてて欲しいんだけどな?」
「…それは、彰くん次第かな?」

にっこり、笑って、赤くなりそうな顔を誤摩化した。
ちょっと、アレだよね、2年になってから皆攻め気…いや、昔からか。
彰くんは楽しみにしてて?といつものようににっこり笑って、コートに出る。
ひらひらと手を振って、始まった試合に集中した。
足と手を使ってリズムを取りながら試合を追いかける。
前半終了を告げるホイッスルが鳴った。

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