旦那 | ナノ



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翌日、リビングに行ったら二人がソファーベッドで寝ていたのは言うまでもない。
しかも、ご丁寧に自分たちの部屋から布団をもってきていた。
一回部屋に帰ったのなら、そのまま部屋で寝ればいいものを。
まさか、此処に住む気じゃないだろうな…なんて、過ったのは秘密だ。
すやすやと気持ち良さそうに眠る二人を起こす前に、朝食を作る。
今日は、パンにしよう、あと、目玉焼き。
トーストの上に目玉焼きを乗せるラピュタトーストが好きです。
ついでにベーコンも乗せますが。
ご飯が完成してから、二人を起こした。

「二人とも、起きて。ご飯出来たよ?」
「ん、」
「後5分…。」

小さく返事をしながらも、寝返りを打っただけの宗くんに、予想通りの反応の彰くん。
はぁ、とため息を吐いて、じゃぁ、先に食べてるからね、と言えば、二人共から不満そうな声が上がる。
だったら起きろよ、と思わないでもないが、もう一度二人に声をかけた。

「ほら、起きて?」

ぺし、と二人のおでこを叩けば不満そうに目が開く宗くんと、ごろん、寝返りを打つ彰くん。
二人の布団捲って、中で手をつないでたりしたら面白いんだけど、と思いながら、布団を捲る。
残念、そんなことなかった。
これで繋いでたのなら面白いことになったのになぁ…なんて思いながらもにっこり笑いかける。

「おはよう、宗くん。」
「…ん、おはよう。仙道は…?」
「まだ君の隣で気持ち良さそうに寝てるよ。」

にっこり笑えば、その言い方はいやだな、と眉を寄せる。
その表情にクスクスと忍び笑いを零して、巫山戯て告げた。

「眠り姫にキスでもどう?」
「断固拒否。」

眉を寄せて体を起こした宗くんは自分にかかっていた布団をたたんで、ソファーベッドにおいた。
ら、彰くんが氷雨ちゃん、と言いながらその布団を抱きしめる。
あ、宗くん笑顔なのに、額に青筋が…。

「ご飯用意しとくから、彰くん起こしておいてね?」
「うん、まかせて。」

そのあと、彰くんを宗くんが文字通り叩き起こして、3人で朝食。
はい、と手渡された用紙にはたくさんの文字が書かれていて、後で読むね、と告げた。
きっと昨日書いていた此処までは許しますっていうアレなんだろうなぁと思いながら、文字数の多さに眉を寄せる。
二人を送り出してから、私は大きなキャリーケースをもって、空港に向かった。

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