旦那 | ナノ



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「あ、そういえば、君、花形って名字だったりする?」

思い出しながら、武石中の彼に聞く。
あ、はい!と元気な声できた返事にやっぱりか、と頷く。

「花形光って言います。でも、何故?」
「花形透さんにリズムが似てたからそうかなって思って。」

生活で決まるからね、リズム。
と肩をすくめれば、そうなんですか?と不思議そうな顔。
生活が変わればリズムも変わるもので、特に宗くんは一番変わったと思う。
一人暮らしを始めてから生活のリズムが何度かズレて、立て直したからだと思うけど。
それがいい感じに変わって、読みにくいリズムに変化した。
本人が気がついているかはわからないけれど、それでも、変化しているのは事実だ。

「兄弟ですから。」
「あー、なるほど。」

そういわれればどことなく似ていないこともない。
なんて、思いながら、そっかー、頑張ろうね、とだけ言っておく。
比較するもんじゃないし、つーか、ポジションが違うからどうとも言えないし。

「白雲先輩!」
「ん?なぁに?」
「俺、白雲先輩みたいな選手になれますか?」
「…君が望むなら、どんな選手にもなれるよ、君は可能性に満ちている。」

そう笑えば、嬉しそうにはい!と返事をする彼。
ふと思い出したように、彼は続ける。

「兄さんが、今度ゆっくり話がしてみたいと言ってたのが、よくわかります。」
「え?本当?私も花形さんとは話してみたいんだよね…いつもいつも藤真さんに邪魔されるけど。」
「じゃあ、兄さんに言っておきます。」

にこり、笑った少年に、お願いね!と笑顔で返事をしてから、紳先輩たちの所に戻った。
ウキウキとしたまま、その場に帰れば、配られた紙。
もう3on3のプリントが出来たのか?と驚いて見つめれば、内容は先ほど渡した私の汚い字の、条件で…。

「……ふふ、高頭先生?」
「氷雨?」
「せめて、せめて。」
「情報を回すのは早い方がいいだろう?」

はぁ、とため息を吐いて、プリントを良く見る。
そこには対戦の条件や勝った場合、負けた場合の内容など、が先生の文字で書き込まれている。
まあ、許容範囲内か、と思っていれば、先生から渡されたもう一枚のプリント。
内容は全く同じもので、首を傾げながらその姿を視界に入れる。

「仙道の分だ、渡しておけ。」

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