旦那 | ナノ



033
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けらけらと笑ってみる。
自分に甘く、他人には出来る限り口出ししないのが私の方針です。
なんて、大きな声じゃ言えないので言いません。
店員さんが丁度来てくれたので、注文する。
その際、私が悩んでいたものをサラッと頼んだ宗くんを見つめてしまったのは不可抗力といいますか…。
宗くんが嬉しそうと言うか楽しそうににっこり笑って。

「一口あげるからね。」

なんて言ってくれて。
くそう、イケメン。
ふと、気がついたように宗くんが口を開く。

「そう言えば、氷雨ちゃん嫌いなものは?」
「うん?私?えっとねー、香りの強いものとーちっちゃい子の嫌いな野菜上位にランクインするやつら。」
「…っていうと?」
「バジルとか?あと生トマト、生人参、ああ、まっくのピクルスも苦手かな。」

トマトと人参…いや、火が通っていれば食べられなくはないんだよ?
だけど、ね?
食べたくない。
なんて言うのが表情に出ていたのか、宗くんが笑う。

「じゃあ好きなものは?」
「んー…美味しいもの?あ、甘いものは結構好き。オムライスも好きかな?」

言えば、先輩が苦笑しながら話に入ってくる。

「…思いっきり子供の味覚じゃないそれ?」
「それは思っても言っちゃダメです。」
「可愛くていいじゃない?」
「内面が可愛いのを許されるのは先輩みたいに可愛い人と綺麗な人とかっこいい人です。」

お前はそれ以外の何に分類されるんだ?
という、私を挟んで宗くんの反対から聞こえる声。
え、そう言うの聞くタイプの人ですか。

「うーん、小市民、平凡、可もなく不可もなくって感じですかね?」
「そうか?俺にはそうは見えないが…。」

え、もっとマイナスですか。
せめて、せめて平凡だって思わせておいて欲しかった…。
なんて落ち込んでいれば、牧さんが続ける。

「白雲は十分魅力的で可愛い女の子だと思うが。」
「〜〜〜〜〜っ?!」
「ほら、可愛い。」

そう言って頭を撫でる牧さん。
思わず先輩とキャプテンを見るが、二人も唖然としている。
これはからかわれているのか…いや、違う。
多分、というか絶対、後輩と言う存在が可愛いんじゃないだろうか。
そうとわかれば、私は口を開いた。

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