旦那 | ナノ



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いやいや、大所帯すぎるだろ。
思わず、草生やしそうになっちまったじゃねーか。
唖然として、メンバーを見る。
それから、宗くんの手をクイクイと引っ張った。
なに?と首を傾げる宗くんの手を引いて、頭を下げてもらう。

「買い物、今日じゃなくていいなら他の日に付き合うよ?」
「ホント?」
「うん、だから、今日は皆でご飯行こ?」
「そうだね。」

話し合いは終わり、じゃあ皆で行きましょうか。と笑う。
あら、いいの?と首を傾げる先輩に、ええ、勿論ですよ、といい笑顔で返す宗くん。
結果、5人でゾロゾロと連なって、駅前のデパートについた。
ちなみに、私の鞄は未だに宗くんの手にある。

「宗くん何食べたい?」
「ん?氷雨ちゃんは?」
「えー、私美味しいものが食べられればそれでいい人だから。」
「何それ、」

驚いたように私を見る。
ついでに、前を歩いていた先輩たちにも聞こえたのか、振り返ってきた。
え、何、そんなに可笑しい訳ですか?
食べるなら美味しいものって思うでしょ?

「いや、毎日自分で作ってるとそうなるって。」
「そういうもん?」
「うん、まあ、私は一人で作って一人で食べてる訳じゃないから、まだマシな方だけどね。」
「…彰くん、だっけ?」
「そー、お隣さん。まあ、ご飯の作り方教える間だけだと思うけど。」

学校始まったらほとんど会えないだろうし、と肩を竦めた。
じゃぁ、その分、俺とご飯食べよ?と首を傾げる宗くん。
くそ、…角度とか、確実に計算されている…あざとい。
断れる訳ないだろう、美形にお願いされたら…。
なんて思ったが、首を傾げた。

「あれ?でも宗くん実家暮らしだよね?」
「うん、でも8月からは一人暮らしなんだ。」
「ぅえ?!本気で?」
「本気で。親に頼んだらあっさり許可されたよ。」

場所は、学校から歩いて40分ぐらいのところかな?
自転車通学に変えようと思ってるんだ。
楽しそうに笑う宗くんに思わずぽかんと口を開いた。
いやいや、…え?なにそれ。
色んな意味で吃驚なんですけど。

「まあ、今度から住む所は7月から海外に行く親戚の住んでる部屋なんだけどね。」
「…そうなんだ?」

なら安心だね、と返しながら、一瞬嫌な予感がよぎった。
…が、こうやって考えれば考えるほど、どつぼに嵌る気がする。
うん、気にしないでおこう。

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