旦那 | ナノ



024
しおりを挟む


「生意気、」

先輩がドリブルを始めるので、腰を落とす。
近づいて来た彼女を私の左へ行くように誘導。
瞬間的に私に背を向けた先輩の手からボールを奪う。
それから、その場に留まった。
彰くんのリズムを借りる。
に、と口角を上げて声を上げた。

「先輩、俺を止めなくていーの?」

首を傾げて、ドリブルしてない方の人差し指で反対側のゴールを指差す。
固まっていた先輩が、走った。
先輩に抜かれたあたりから、私も進む。
牧さんにチェンジ。
先輩を抜いて、立ち止まる。
富中エースを投影して、ワンハンドでジャンプシュート。
スパ、といい音がした。

「私の勝ち、でいいですか?」

にこり、笑って、先輩を見る。
悔しそうに口を尖らせた先輩の近くに向かう。
それから、私より少し背の低い先輩のほっぺに手を添えた。
不満そうな先輩に囁く。

「そんなに可愛い顔してたら、キスしちゃいますよ?」
「んな!?アンタ女の子でしょ!」
「でも、そこら辺の男より甲斐性はあると思います。」

にこり、笑う。
先輩が顔を真っ赤にしているのが可愛くて仕方がない。
と思っていれば、先輩が後ろに引かれた。
見上げれば、キャプテン。
先輩はさっき以上に真っ赤になった。
…ふぅん?そーゆー関係か。

「レイナは渡せないな。」
「やっぱりですか。結構好みだったんですけど。」

肩をすくめてみせる。
キャプテンが本気じゃないくせに何言ってんだ、と苦笑を浮かべた。
あれ、バレてました?と首を傾げれば、当たり前だ、と呆れたような声。

「それより、お前、一回牧みたいな動きしなかったか?」
「ああ、はい。牧さんのリズムを借りましたから。」

キャプテンの言葉に頷く。
それにしても、よくわかったなキャプテン。
体のサイズとか違うから、ぶっちゃけほとんど別物なのに…。
先輩が睨みつけるように見てくる。

「ずるい!」
「…いや、そんなことないと思うんですけど。」
「もう一回!!」

[前へ]/[次へ]

[ back to menu ][back to main ]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -