旦那 | ナノ



023
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「サポートも楽しそうですけど、時々、やりたくなりません?」
「そう、ね。」
「…じゃ、今度一緒にバスケしましょう先輩。」
「は?!」

話についていけないとでも言いたげな反応に微笑む。
先輩を見つめて、ずっと膝に乗っていたボールを軽く叩いた。

「私これでも、3月中ずっと1on1やってるんで、そこそこだと思いますよ?」
「それは相手が問題じゃない?」
「んー、東京からスカウトされてやってきた私と同い年の男の子です。」

勿論、ハンデつけてもらってますよ?と笑う。
どんなハンデよ、と怪訝そうな目をする先輩。
そんな無茶な要求はしてないです、と心で呟いた。
流石に190近い身長にジャンプされたらお手上げでしょう、と誰に言うでもなく考えてから。
まあ、いつも負けてますけど、と肩をすくめる。
先輩は思わずといったように吹き出して、それから綺麗に笑った。

「いいわよ、後でやりましょう?」
「やった、先輩大好き。」

嬉しくて、顔面が崩壊している気がする。
先輩は驚いたようにするが、すぐに綺麗に笑ってくれた。
それから先輩はすぐにあ、部室掃除しなきゃ、と扉の向こうに消える。
可愛い人だなぁとその背中を見送った。
それからは特筆するべき事件は起こることなく、練習は終わる。
すごかったなぁ、と他人事のように思っていれば、1つボールが飛んできた。
片手で受け止めると、先輩が楽しそうに笑っている。

「勝負!」
「え、今日でいいんですか?」
「今日から!」

楽しそうに言う先輩に本気になってもらおうと、わざと挑発的に言う。

「先輩自分が負けるのわかってるからって、」
「それは聞き捨てならないわね!」

言葉の途中で強く言い始めた先輩に思わず微笑んで、ボールを投げ返す。
それから、自分の服装を思い出した。

「だって、私、今制服ですよ。」
「私は疲れてるんだから、それくらいのハンデあってしかるべきじゃない?」

先輩の言葉に肩をすくめて、じゃあせめて、と靴と靴下を脱ぐ。
それから、実は下は体育着+ハーフパンツなので、制服を脱いだ。
まあその瞬間、体育館が微妙に静まったのは否定しないでおこう。
先輩に駆け寄った。

「レディーファーストです、先輩からどうぞ。」

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