旦那 | ナノ



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学校が終わり、夏休みが始まる。
が、以前と同様、いや、それ以上に忙しい日々の始まりでもある。
朝から晩まで走り回り、頭を使い、体を動かし、家に帰ってから泥のように眠る。
正直なところ、いつも通りの生活ができるのは私の力ではなく、手伝ってくれる洋平くんのおかげだ。
湘北のお手伝いが忙しい中、定期的にうちにまで顔を出してくれる。
本っ当にありがたい。
何度拝もうとしたことか…その度に止められるけど。
閑話休題。
IHに向けての合宿を他の学校もしていると思うのだけど、海南も例に漏れず、だ。

合宿先はいつも決まっているので、そこまで困ることはないのだが、それよりも宿題の処理と予定通りに進ませることの方がきつい。
橘くんと部活中も一緒に頭を悩ませて組み上げたスケジュールを、ポンと入ってきた練習の延長が台無しにする。
いや、別に悪いものじゃないんだ、強化練習だって大切だからね。
でも相沢さんが監督している橘くんが組んでくれたギリギリ限界を責めているスケジュールの変更はなかなか大変なのだ。
単純にマネージャーの仕事が増えている気がするが、きっと気のせいだろう、うん。
なんて思いながら、重たい水分を難度も往復して運ぶ。
熱中症には気をつけないと!ということで、私もこまめに水分補給をしているし、スポドリを運ぶ度に補給してー!と叫んでいる。
今日は1日練習なので、特に繰り返す必要がある。
これだけ叫んでも数人は気分が悪そうにするのだから、本当に手に負えない。
集中すると自分の体調不良に気がつかない場合も多いから仕方ないといえば仕方ないのだが、選手のメンタル的なものを考えると気持ちよく練習してもらって、IHに臨んでほしいところだ。

「白雲、少しいいか?」
「はい?」

高頭先生に呼ばれて首を傾げつつそちらへ。
なんだろ?と思いながら近づいたところ、すごく真面目くさった顔をした高頭先生が少し来てほしいと、職員室まで連れて行かれた。
え、怒られる…?
身を縮こませながら到着した職員室で、驚くほど真顔で見られたので、これガチで怒られるのでは?と考えを巡らせ始めた。
宿題も私生活も疎かにはしてないし、部活も出来る限り努力している。
他に何か怒られるものってある?マジで何かあったの?と高頭先生に向き合う。
合宿についても、連絡は密にとっているし先生にも共有しているはずだ。

「呼び出してすまないな、これを見て欲しいんだが」

差し出された紙は翔陽高校からの夏休み中の合同練習の誘いだった。
え、今??
とは思ったのだが、話を聞くと既に何度か調整していた結果この日だと。

「…無理では?」
「だが、諦めるのも勿体無いだろう?」
「そうですね…私が行ってスケジュール調整して来いってことですかね」
「ああ」
 
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