旦那 | ナノ



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翔陽vs湘北

基本的に、それから先の試合はほとんど見に行かなかった。
正確に言うのなら、行けなかった、が正しいのだけれど、まあその辺はいい。
マネが分業制だからっていうのが大きい…来年一年生の女の子が入らなかったら、どうしよう…。
男子マネでよく気がつく子を今のうちから探しておかないと。
一人頷いて、カレンダーに目を向ける。
今の海南の実力なら、Aブロックで確実に勝てるだろう。
全員が事故に遭うとか、暴力沙汰を起こすとか、ハプニングさえ無ければ。
そうすると、決勝に出てくるのは、多分、陵南と武里。
それから、次の試合の勝者。
今日も頑張るかぁ、と一度伸びをしてから、部屋を出て、宗くんと一緒に集合場所へ向かった。


「橘くんは、湘北と翔陽どっちが上がってくると思う?」
「あー…光には悪いが、微妙だな」

隣でカメラを確認している橘くんが眉を寄せながら告げる。
その向こうにいる光くんはいえ、と首を左右に振った。

「兄も、越えるべき壁ですから」
「ならいいけど。正直、予測ができないんだよ」

光くんの言葉に小さく笑って返した橘くんはコートに視線を落とした。

「湘北の情報が少ないんですか?」
「ああ、圧倒的にな」
「私が知ってるのも、中学時代の情報が基本だし」

橘くんの言葉に続くように告げる。
なるほど、とじっとコートを見つめる光くんは真剣だ。
次期PG候補として、既に名前が挙げられている彼の視線の先には藤真さんとリョーちゃん。
そんな後輩を視界に入れて、橘くんは何処か嬉しそうに笑った。

「参考になりそうか?」
「はい!」
「今日は藤真さんとリョーちゃん、あと紳先輩。と、もしかしたら、陵南の…仙道も見られるかな?」
「仙道?アイツPGじゃないだろ?」
「んー、やってるのは見たこと無いけど、パス回しとか上手いから、参考にはなると思うよ」

肩をすくめて返せば、そうなんですか、と光くんの返事。
追うように、なるほどな、という橘くんの声。

「PGだからって、そのポジションだけ見てるのも偏っちゃうからね」
「まぁな、牧さんは典型だろ、思いっきり中入ってくし」

だねぇ、と言葉を返していると、2年生の男子マネが近寄ってくる。
花形、集合しろって、と声をかけた彼は、私と橘くんに撮影よろしくな、と告げて素早く去っていく。
光くんが、失礼します、と一度頭を下げて、その後を追っていった。
そろそろ始まりそうなので、眼鏡をかけて、スコア表を広げる。
ボールペンをかちり、とノックして、必要事項を記入した。

「そういや、お前のスコアって無駄に細かいよな、余白が黒くてビビった」
「え?あ、うん、パターンが読めるようになれば、攻略しやすいかなと」

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